色褪せぬ大自然に抱かれてひと息ついて、その先へ
時は巡り、再び訪れたヴァカンスの季節。イタリア人が愛して止まないヴァカンスも、今年は少し様子が違う。イタリアホテル事業団体や旅行会社協会のリサーチによれば、行き先は9割以上が国内近圏を選び、移動は車が増加。
滞在期間は例年より短く、ほかの客と接触がないエアビーアンドビーや貸別荘の人気が高め。感染不安もあるが、経済事情の影響も大きい。縮小はするものの、自国の文化的価値や自然を再発見する機会にもなると、業界はあくまでも前向きだ。
迎え入れるヴァカンス地の宿泊施設では、チェックアウト毎に専門業者が熱心に消毒をし、社会的距離を空けてパラソルとビーチベッドを並べる有料ビーチの入り口で、マスク姿のスタッフが体温をチェックする。ビーチバッグに、日焼け止めとマスクが欠かせない。
いつもと違う夏ではあるけれど、ふと目を上げれば、そこにはどこまでも青く透明な海が、静かにきらめいている。まるで何事もなかったかのように!
イタリアにも秋ごろ、本格的な第2波が来ると言われているが、どうなるだろう? 世界中がまだその先を知らない。だからといって、怯えてばかりでは枯れてしまう。
強い根から太い幹を伸ばし、肉厚な葉をあまた茂らせるには、エネルギーが必要だ! さあ、太陽を浴びよう。
どんな時でも今を楽しむチカラは、生きるチカラ。イタリアは、それを教えてくれる。いつかまたイタリアを訪れたなら、変わらずにきらめく太陽と力強く生きる人々の懐かしい笑顔に“必ず”再会できるだろう。
Text=Sawako De Nola Iwata
Photo=Alessandro Di Giugno