今までに経験したことのない日々を強いられ、いまだ出口の見えない日が続く2020年。それでも、人々は自分たちの暮らしを取り戻そうと新しい日常をつくりだしている。甚大な被害を受けたイタリアではどのような夏を迎えたのか。シチリアからお届けする。

夏の輝きを取り戻した街にマスクと笑顔が行き交う

 厳しいロックダウンを乗りこえたイタリアに、今年も美しい夏がやってきた! 変わるものと変わらないもの。太陽と生きるチカラが漲る「今」を歩く。

 地中海の眩い陽光が降り注ぎ、街路樹が色濃い影を作る。咲き乱れるブーゲンビリア、ときおり吹き抜ける涼やかな海風。シチリアンブルーの空にすらりと伸びたヤシの葉が、軽やかに揺れている。かつて「ジーザ(アラブ語で輝く光)」と称されたシチリア州の州都パレルモ。

 ロックダウンが開けて、約2カ月。この街にも再び輝きと活気が戻ってきた。

Text=Sawako De Nola Iwata
Photo=Alessandro Di Giugno