香港国際空港とのアクセスは
将来的に向上の見込み
大橋の香港側イミグレーション施設は香港国際空港に近い場所に位置しているものの、往来するには、一旦、路線バスやタクシーなどで移動し、かつ、それぞれで出入境の手続きをする必要が生じるため、現状では地の利を活かしきれていない状況です。
香港国際空港内のフェリーターミナルとマカオを結ぶ高速船と乗り継ぎのスケジュールが合うようであれば、現時点では高速船の方が便利で快適といえるでしょう。
ただし、香港国際空港と澳門を結ぶフェリーは本数が限られているため、うまく乗り継ぎできない場合は、市街地にあるフェリーターミナルまで大回りするよりも、空港から路線バス(約10分)で大橋の香港側イミグレーションへ出て、シャトルバスを利用するという選択肢もあるでしょう。
目下、香港国際空港と大橋の香港側イミグレーションを地下で直結させる工事が進められており、実現すれば香港国際空港を経由したマカオとのアクセスが飛躍的に向上すると予想されます。
これとは別に、マカオ市街地と香港国際空港を結ぶクロスボーダーバスのエアポート路線も開設予定となっています。
港珠澳大橋経由と高速船
どちらが早く移動できる?
高速船を利用した際のマカオと香港の間の所要時間はおよそ1時間です。フェリーターミナルは、マカオ、香港ともに市街地の中心付近にあります。
大橋のマカオ側、香港側イミグレーションがいずれも市街地からやや離れた場所にあり、バスを利用した場合の両市街地間の移動時間はトータル2〜3時間程度を見込む必要があるため、結果的に海路ルートの方が速くて快適という声も聞かれます。
実際の旅客動向について、マカオ政府統計調査局が公表した2018年11月の統計によれば、マカオの主な海の玄関口(外港及びタイパフェリーターミナル)経由の出入境者数は前年同期から約34%の大幅減となる67万8,513人にとどまった一方で、港珠澳大橋経由が43万6,660人に上り、旅客の大橋シフトが進んでいるのは明らかです。
開通したばかりとあって、まだまだ使い勝手が良くないところもありますが、ピーク時におけるシャトルバスのフレキシブルな増便、クロスボーダーバスの行き先の多様化、香港国際空港とのアクセス向上など、今後少しずつ改善されると予想されます。
港珠澳大橋シャトルバス(ゴールドバス)
クロスボーダーバス「港澳快線(Hong Kong - Macao Express)」
クロスボーダーバス「港澳一號(One Bus)」
勝部悠人(かつべ ゆうじん)
大学時代にポルトガル語を専攻。大学卒業後、日本の出版社に入社し、旅行・レジャー分野を中心にムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ、現地最新トピックを日本市場に向け毎日発信している。
マカオ新聞 http://www.macaushimbun.com/
文・撮影=勝部悠人(マカオ新聞)