腕利きロースターのコーヒーを求めて海沿いの街へ

天草市内で開かれるマルシェや熊本県内のイベントで人気の「楽園珈琲」。

 天草は、コーヒーのロースターショップも多い場所。「あそこのコーヒーはおいしい」「あの店の焙煎は最高!」という話をあちらこちらで聞く。そのクオリティーは、都会にひけをとらない。なかでもコーヒー好きに知られるのが、焙煎も手がける移動カフェの「楽園珈琲」だ。

 天草で行なわれるマルシェやイベントなど各地で出店しているが、2016年6月、西海岸に、コーヒー豆を焙煎、販売する拠点を構えた。その味を求めて、県外から車を飛ばしてくる人もいるし、オンラインショップでは全国から注文が入る。

焙煎は機械で行なうが、かつて手網焙煎をしていたときの勘で、厳しく豆の状態をチェックする。

 2010年に「楽園珈琲」を立ち上げた本山秀樹さん、美和さん夫妻は、海を愛するサーファーでもある。海へ向かう前の高ぶる気持ちを抑えるために欠かせないコーヒー、海から上がった後に波を回想しながら飲みたくなるような身体に優しいコーヒーを追求して、今があるのだそう。手間はかかっても、仕上げは丁寧に。焙煎したコーヒーは、一粒一粒手にとって、色や香り、形を入念にチェックする。

 奇抜な味ではない、マイルド、酸味がない、というのが楽園珈琲テイスト。だから、コーヒーの知識がなくても、一口飲めば、「ああ、おいしい!」と思えるのだ。コーヒーや天草の海の話を聞きながら、焙煎が終わるのを待つ時間も楽しい。「同じ波は二度と来ない。すべては自然からの贈り物だから、大切に丁寧に心をこめて焙煎しています」と本山さん。サーフィン哲学は、コーヒーづくりにも生かされている。

左:スペシャルティと呼ばれる世界に流通するうちの約5%しかない貴重な豆を自家焙煎したドリップバッグ。
右:各地に移動するカフェ。月・水曜日の11時~15時時頃にかけては、JA直売所の天草とれたて市場で出会える確率が高い。

楽園珈琲
【自家焙煎所】

所在地 熊本県天草郡苓北町白木尾159-3
電話 090-2483-2105
営業時間 9:00~17:00(来店前に電話を)
定休日 不定休
URL http://rakuencoffee.com/

天草とれたて市場
所在地 熊本県天草市瀬戸町2-1
電話番号 0969-32-6888
URL http://jatoretate.ib.shopserve.jp/

【取材協力】
上天草市 観光おもてなし課

電話番号 0964-26-5512
URL http://www.city.kamiamakusa.kumamoto.jp/q/list/129.html

天草市
URL http://www.city.amakusa.kumamoto.jp/

一般社団法人 天草宝島観光協会
URL http://www.t-island.jp/

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn