体重より「ウエスト」が大事な局面が存在する

 「体重は同じなのに健康診断の判定が悪化した」「体重が増えたのに体調は改善した」。実はこれらは、ウエスト周囲径と関係する可能性がある。

脂肪は量だけでなく ついている場所が見逃せない

 たとえば同じ体重の2人がいて、一方はウエストがすっきりしていて、もう一方はお腹だけが出ているとします。健康リスクの観点から見ると、この2人のリスクは同じではありません。体重計の数字が同じでも、脂肪がどこについているかによって、心臓や代謝への影響は大きく変わってくるからです。

 米国心臓協会・米国心臓病学会・肥満学会が共同で策定した過体重・肥満管理ガイドラインをまとめたジェンセンらの報告があります。このガイドラインでは、ウエスト周囲径、つまりウエストの周りの長さを、BMIと並ぶ独立したリスク評価指標として位置づけています。

 具体的なハイリスクのラインとしては、米国のガイドラインでは男性102cm超・女性88cm超、日本肥満学会の基準では男性85cm超・女性90cm超が設定されており、この基準を超えると心疾患、2型糖尿病、高血圧などのリスクが上昇するとされています。さらにガイドラインは、毎年の定期受診でウエスト周囲径を測定することを勧めています。

内臓脂肪こそ代謝をはじめ 健康を大きく左右する存在

 なぜ体重ではなくウエストが重要なのでしょうか。その理由は、脂肪の種類と場所にあります。皮膚の下につく皮下脂肪は外見には影響しますが、代謝リスクへの影響は比較的小さいとされています。

 一方、お腹の奥についた内臓脂肪は、慢性的な炎症を引き起こす物質を分泌しやすく、血糖を下げるホルモンが効きにくい状態や高血糖、脂質の異常、高血圧といった代謝リスクを直接高めます。そしてウエスト周囲径は、この内臓脂肪の量を反映しやすい指標として知られているのです。

 「体重は変わっていないのに健康診断の数値が悪化した」「体重は増えたのに体調は改善した」という一見矛盾する現象も、ウエストの変化を合わせて見ることで説明がつく場合があります。体重計だけに頼っていては見えない体の変化が、ウエストという窓を通して見えてくるのです。

 測定方法は、食後を避けた朝に、立った状態でへそ周りをメジャーで測るだけ。毎日測る必要はなく、月1回ほどの定点観測で十分です。数値の長期的な変化を追うことが、お腹の奥の脂肪の動きを把握する現実的な手段になります。体重計の数字と並べて記録する習慣を、今月からつけてみましょう。

今日の1アクション

月1回だけウエストを測る日をカレンダーに決めましょう。今日、メジャーを引き出しに入れておくことから始めてみてください。

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堀田秀吾(ほった・しゅうご)

明治大学教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションについて、社会言語学、心理言語学、脳科学など多岐にわたる学術分野を駆使した研究を行なう。研究以外の活動にも領域を広げており、企業の顧問や芸能事務所の監修、テレビやラジオでワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。著書に『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)などあり、著書累計は135万部を突破。

木島豪(きじま・ごう)

東京医科大学卒業後、東京医科大学病院循環器内科へ入局。循環器専門医と内科認定医を取得後、平成20年に医療法人社団EPIC DAY東京メディカルクリニック平和台駅前病院の院長に就任。老化防止と体質改善を行う治療法に着目し、内科、皮膚科などの一般診療を主に行いつつ、予防医療を目的としたアンチエイジング内科を併設。著書は、『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(堀田修吾氏との共著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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