いつもの料理がランクアップする小鹿田焼の「使い方」
佐藤さんはギャラリストとしてだけでなく、JR九州クルーズトレイン・ななつ星で使用される小鹿田焼のアドバイザーも務める。昨年までは、ななつ星in九州の3泊4日(霧島)コースの行先に鹿鳴庵が含まれていた。そのほか東京など、全国のショップでのポップアップも行っている。
「他のショップに並ぶ器と、私がセレクトする器は、同じ小鹿田焼でも全然違うと思います。デパートさんなどでは“ザ・小鹿田焼”といえる、『飛び鉋』の文様がしっかり出た分かりやすいものを仕入れると思いますが、うちの目線はそこではない。釉薬の歪みが混じったり、炭っぽかったりと、窯がしっかり仕事しているようなものを選んでいるのが特徴です。元々私はこの地で生まれ育ち、子供の頃から窯元の家族とは付き合いがあった。窯元さんが信頼してくださっているからこそ、こうして器を預けてもらえています」
古き良き風合いの小鹿田焼を、今の食卓でどう使えばいいだろうか。
「最近の若い方は忙しくて料理の品数をあまり多く作れなかったり、作ったとしてもそれぞれ小皿によそうと手間もかかる。現代の『用の美』を考えると、小鹿田焼の大きなお皿にワンプレートで盛り付けて、食事も皿洗いもこれひとつで完結するスタイルが良いかもしれません。スーパーで買ったお惣菜を移し替えるだけでも、日常が楽しくなります。
例えば平日は八寸皿(24cm)でワンプレートごはんを、休日はもう少し大きな九寸皿(約27~28cm)に盛り付けて豪華にして、日常と非日常を器で使い分けるのもいいですよね。皿の横にワイングラスでも1個置けば、もうごちそうになりますよ。
私は『“余白”を楽しむ』ことを皆さんに提案しています。例えば、うどん屋さんの『つるとんたん』。料理のクオリティはもちろんですが、あの大きい器でいただくから、いつものうどんとは異なる非日常感が生まれる。器の余白が、気持ちの余裕につながってくるんです」
