モテる力より、関係を保ち続ける力のほうが重要

――それぞれの幸福の中に、失恋という通過点があるのかもしれないですね。恋愛においてはモテるモテないということが議論されることも多々ありますが、お二人の思う“モテ”とはどういうものですか。

又吉 それでいうと、モテることがそこまで重要なのかという問題もあるんじゃないですかね。モテよりも、ちゃんと好きになった人と関係性の強度をどんどん上げながら、その関係を保ち続ける力のほうが重要じゃないですか。俺のことがなんとなく魅力的に見えても、付き合ってみたらめちゃくちゃで、「この人はもう無理や」って愛想を尽かされ続けているわけですから、それはモテてるかもしれないけれど、本質的には何回も採用試験に落ちているわけで。

――過度な期待をされすぎて、本来の自分自身を見てもらえない面もありますかね。

又吉 そうですね。自分がそんな絶望的な状況とも思ってないですけど(笑)、恋愛によって、自分の未熟なところに毎回気づかされる感じです。相手がどうというより、「結局、俺のこの部分が永遠に解消されてないんやな」と突きつけられる。

 また、問題点はわかってるから、「ここだけケアできれば」と自分なりに注意して振る舞うんですけど、結局そこがダメで崩れてしまう。次の恋愛では最初からさらけ出そうと思って「自分はこういう爆弾を抱えているから、申し訳ないけどお互い気をつけましょう」と共有して交際を始めたのに、結局その爆弾によって全てが終わる。そういうことはよくあります。

たなか 私も「モテる/モテない」はあまり意識したことがないですね。たくさんの縁が訪れる時期が人それぞれにある中で、そういう時の自分って、自分自身ではあんまり魅力的に思えないんです。それより、1人の時とか、自立したしっかりとしたパートナーがいる時の自分のほうが好きですね。「モテる」と形容していいかはわからないですけど、人がいっぱい近づいてくる時は勝手に何かを投影されているだけなのかなと。だから、私もモテるかどうかは重要じゃないと思っています。

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又吉直樹(またよし・なおき)

1980年、⼤阪府寝屋川市⽣まれ。2003年に綾部祐⼆と『ピース』を結成。2015年に⼩説デビュー作『⽕花』で第153回芥川賞を受賞。著書に『劇場』『⼈間』『⽣きとるわ』などがある。

たなかみさき

1992年⽣まれ。⽣活や⼈物を⾵通し良く描くイラストレーター。著書に、作品集『ずっと⼀緒にいられない』『あ~ん スケベスケベスケベ!!』(ともにPARCO出版)、コミック『⼤なり⼩なり』(⽂藝春秋)がある。

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