藤本美貴と横澤夏子が育児や家事、夫に対する本音を語り合う、家事育児特化バラエティ「夫が寝たあとに」(毎週火曜 深夜0時15分~ テレビ朝日系 ※一部地域を除く)。昨年、歌人・俵万智さんをゲストに迎えた「育児短歌」回が放送されると、「まさにそれ!」「泣ける」と放送直後から大きな反響を呼びました。
そしてなんと2026年4月23日、番組で放送された名作育児短歌や、豪華ゲストによる書き下ろし短歌をまとめた『みんなの短歌』(マガジンハウス)が発売に。
子どもの初めての瞬間は写真に残せても、最後となる瞬間はいつも気づかないうちに過ぎ去ってしまうもの。本書はそんな切ない気づきに寄り添い、日々の葛藤やネガティブな感情も短歌にのせることで前向きに変換できると教えてくれます。
子育て真っ最中の世代はもちろん、すでに子どもが巣立った人、あるいはかつて子どもだった人も楽しめる『みんなの短歌』。今回は特別に、本書の中から一部を抜粋して、俵万智さんの言葉をお届けします。
「初めて」は記念に残せても、「最後」はいつも知らぬ間に過ぎ去っていく
最後とは知らぬ最後が過ぎてゆくその連続と思う子育て
――『未来のサイズ』
初めて寝返りを打ったとき、初めてハイハイをしたとき、初めて言葉を発したとき、初めてつかまり立ちをしたとき……。子育てをしていると、さまざまな「初めて」に出合います。そして「一生に一度の初めて」の瞬間を写真に撮ったり、日記に書いたりなどして、記念すべき大切な日として記憶に刻もうとします。
一方で、知らないうちに過ぎ去ってしまいがちなのが、最後の時間です。
「そういえば、絵本を最後に読んでやったのはいつだったかしら?」などと、しばらく経ってから、ふと思うことが意外とあるのに気がついて、終わってしまった寂しさを詠んだのが冒頭の歌です。
夜中の授乳や、泣き止まない子どもの抱っこなど、寝不足になりながら育児をしている最中は、「この時間が早く終わってほしい」「子どもが大きくなったらもう少し楽になるかな」などと思うことでしょう。だけど今しかない、かけがえのないひとときなのだと意識できたら、子どもとの向き合い方が変わってくるかもしれません。
育児が生活の中心になっている時期は、閉ざされた狭い世界に生きているように感じる方もいるかもしれません。けれど、この世に誕生して間もない子どもの視線や行動に、大人が気づかされることは無数にあって、実はとても深い世界を垣間見ることができるのだと、自分の経験から感じています。これ以上ないほど尊い経験をしているのですから、瞬間瞬間に感じたことを、短歌にしないともったいない。そんなふうにさえ思うのです。
