一般向けの宿泊施設としても門戸を開く

 では、芸術家でなければここに滞在できないのか……と言えばそうでもない。あまり知られていないが、実は「アカデミー・ド・フランス」は一般向けの宿泊施設としても機能している。旅行客でもこの美しい元メディチ家の別荘で過ごすことができるのだ。

館内にあるカフェテリア。宿泊料に朝食は含まれていないので、朝起きたらまずはここでイタリア式の朝食を。
緑に囲まれたカフェテリアの屋外テーブル。鳥のさえずりを耳にしながら優雅なティータイムやアペリティフを楽しもう。
全4室あるヒストリカル・ルームのうちのひとつで、当時、フェルディナンド・デ・メディチ枢機卿自身が使用していた住居の一部。フレスコ画はルネッサンス期のものでヤコポ・ズッキとその弟子たちの作品。インテリアの一部は1960年代に館長だった画家バルテュスが手がけた。
全4室あるヒストリカル・ルームのうちのひとつ。部屋の壁には当時のタペストリーが飾られていて、まるで美術館の中にいるよう。
クラシックな客室とは対照的なモダンで使い勝手のよいバスルームにホッとひと安心。
ヒストリカルルームの窓から見下ろすローマの街並み。その美しさに思わずため息が漏れる。

文・撮影=村本幸枝(アッティコ)