海のように大きいガルダ湖は、ロンバルディア州、ヴェネト州、トレンティーノ=アルト・アディジェ州にまたがっている。南東は地中海性の温暖な気候でワインやオリーブオイルの産地としても名高い。湖畔でたくさんの湖水浴客やパームツリーを見かけると、南国に来たかのようだ。
ドイツ人にとっても憧れの保養地だが、それはかつてゲーテがここを訪れて『イタリア紀行』に感動をしたためたことも理由のひとつかもしれない。
グランドホテル・ファサーノ
Grand Hotel Fasano
かつてオーストリア皇帝たちがキジ狩りに訪れた場所
朝、波の音で目が覚める。窓を開けると、海のような景色が広がっている。コモ湖ともマッジョーレ湖とも違う顔をした湖が目の前にあった。
ここは1800年代半ば、オーストリアの領地で、皇帝たちが冬の間、キジ狩りに訪れた場所だ。ファサーノ(キジ)の館と呼ばれた、オーストリアの由緒ある建物が、今もホテルの別棟として使われている。外観は当時の趣を残しているので古めかしいが、内装はきれいにリニューアルされていて、別荘のように寛げる。本館は、白とクリーム色とベージュで落ち着く色合い。階段はピンク色の大理石で、全体的に女性が好みそうな造りだ。
右:イタリア産のフォアグラ。コーヒーと砂糖と小麦粉で作ったスポンジを添えて。これもサプライズのある食感。
祖父の代からホテルを経営しているという3代目のオーナー、オリヴィエは12歳から10年間はドイツ、アメリカに留学していた。その後も様々な所を旅して帰ってくると、いつも思うことがあるという。
「ここにはすべてがあります。湖と山、杉にパームツリー。そして美味しい食事」
共同経営者の弟と、今はインターナショナルな5ツ星を目指している。
「全世界のお客様に気持ちよく過ごしていただきたいんです」
撮影=橋本 篤
文=編集部
コーディネート=大平美智子