この記事の連載

 初めてのエッセイ集『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』を出した坂口涼太郎さん。本の中ではその時々の心情を伝える短歌も詠んでいる。

 俳優として映画やドラマ、舞台で活躍し、シンガーソングライターやダンサー、振付師でもある坂口さんの表現の源や処世術について話してもらった。

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「この世界に存在していてよかったな」と思える

――坂口さんはバラエティ番組ではサービス精神全開。初エッセイ集『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』でも、シリアスなテーマもユーモアを交えて、読者を楽しませようという姿勢が随所に表れています。「誰かに喜んでもらいたい」という気持ちは子供の頃からあったのでしょうか。

 2歳の頃からちゃぶ台を舞台に見立てて、その上で踊っていたそうですから、たぶんあったんだと思います(笑)。でも、それも家族を喜ばせたくてやっていたわけではなく、自分が楽しくてやっていたことが結果的にみんなも喜んでくれた、ということだったと思います。

――お芝居、歌、ダンスなど、幅広い表現活動をなさっている坂口さんですが、最初の入り口はダンスですか?

 はい。9歳のときに『キャッツ』で感銘を受けて、ミュージカル俳優に憧れて、ダンススクールに通うようになりました。

――「私を見て!」という気持ちよりも、シンプルにおどることが楽しかったのでしょうか。

 「私を見て」という気持ちもあったと思います。

 今、私がしている活動は、全て見てくださる方がいないと意味のないことばかりなんですよね。観てくださったり聴いてくださったり、読んでくださる方がいて、拍手をいただいたり、何かしら言葉をかけていただくことが糧になるし、「この世界に存在していてよかったな」と思える気がします。

2025.08.04(月)
文=黒瀬朋子
写真=平松市聖