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 11月25日(月)に1年半ぶりの最新長編小説『ゆびさきに魔法』が発売される三浦しをんさんへのインタビュー。

 直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』や、辞書編纂の現場を描いた『舟を編む』をはじめ、多彩なジャンルの作品で知られる三浦さんの最新作は、「ゆびさきに魔法」をかけるネイリストが主人公の「お仕事」小説です。ネイルオブザイヤーも受賞された三浦さんに、お客様の爪に魔法をかけるネイルの魅力についてもお聞きしました。

【あらすじ】

月島美佐はネイルサロン「月と星」を営むネイリスト。爪を美しく輝かせることで、日々の暮らしに潤いと希望を宿らせる――ネイルの魔法を信じてコツコツ働く毎日である。そんな月島のもとには今日も様々なお客様がやって来る。巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居を跨ごうとしない居酒屋の大将。子育てに忙しく、自分をメンテナンスする暇もなくストレスを抱えるママ。ネイルが大好きなのに、パブリック・イメージからネイル愛を大っぴらにはできない国民的大河男優……。酒に飲まれがちながらも熱意に満ちた新米ネイリスト・大沢星絵を得て、今日も「月と星」はお客様の爪に魔法をかけていく。


――『ゆびさきに魔法』では、なぜネイリストの話を書こうと思われたのでしょうか。

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三浦しをんさん(以下、三浦) 私、ネイルをしてもらうのが好きなんです。ゆびさきをキラキラと彩るネイルは、日常に潤いを与えてくれる存在だと思っています。

 いまはだいたい3週間に1回サロンに通い、爪のケアとネイルチェンジをお願いしていますが、ネイリストさんと親しくなるにつれ、いつか彼女たちをモチーフにした小説を書きたいと思うようになりました。

 そんな時、『月刊文藝春秋』から連載のお声がけをいただきまして。年配の男性読者が多いと聞き、これは逆に、ネイルにあまり馴染みのない方たちにネイルの魅力をお伝えする絶好の機会なのではないかと、「ぜひネイルをテーマに書かせてほしい」と連載をスタートしました。

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――今日もすごく綺麗なネイルをされていますね。三浦さんは、いつ頃からネイルをされるようになったのですか?

三浦 10代の頃からです。ネイルを始めたきっかけは、バンドが好きで、爪を赤や黒に塗るのがバンドファンの「身だしなみ」だと思っていたから(笑)。自分でマニキュアを塗っていました。

 でも、一生懸命塗ったのに、乾かしている間にうっかりどこかに触って台無しにしてしまうこともよくありました。ですから、乾きが早くて、美しさが長持ちするジェルネイルの普及以降は、ジェルネイルに移行しました。

2024.11.25(月)
文=相澤洋美
写真=志水 隆