この記事の連載
眺めのいいレストラン #1
眺めのいいレストラン #2
眺めのいいレストラン #3
眺めのいいレストラン #4
素晴らしい空間で美しい街並みを一望しながら、美味に舌鼓。
食とアートの都ならではの感動を体験できる最新レストランを4回に渡りご紹介。
世界の注目を一身に集める“鉄の貴婦人”の新空間
◆Madame Brasserie(マダム・ブラッスリー)
![客席は全部で230。フロアのなかでも場所によって異なる景観が楽しめ、いずれも魅力的。塔の内側に面した席では、新旧デザインの融合が圧巻。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/1280wm/img_636e319f9749ff897f63b2e12071ed4a183300.jpg)
作家ギィ・ド・モーパッサンは、エッフェル塔のレストランで食事をすることを好んだという。そのココロは、このなかに入ってしまえば、塔の姿を見なくてもよいから。
1889年に完成したエッフェル塔は、あまりにも革新的だったがゆえ、当時の芸術家には反対を唱える人も少なくなかった。
![イエナ橋から見上げるエッフェル塔。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/1280wm/img_0843f2a9fbce40d085b81396093c9d89221114.jpg)
そのひとりが冒頭のモーパッサンなのだ。それから130余年後の今、エッフェル塔はパリになくてはならないアイコンになった。
さて、この“鉄の貴婦人”には、創建当時からレストランがあり、そこに登るためのエレベーターもすでに完備されていたのだから驚く。
![トロカデロ広場を真正面に眺めるラウンジフロア。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/5/1280wm/img_c54cb96d7fb6ce6fb047a821b204487c128241.jpg)
第1・第2展望台に展開されるレストランは、各時代を象徴する有名シェフたちの活躍の舞台となり、2022年6月には第1展望台にティエリー・マルクス氏監修の「マダム・ブラッスリー」がオープンした。
ティエリー・マルクス氏といえば、フランスを代表するシェフのひとり。マンダリン オリエンタル パリのメインダイニング「シュール・ムジュール」を率いるだけでなく、料理を通じて社会を変えてゆく力をもった人物として絶大な人気がある。
![蒸し煮のチコリをハムで包み、コンテチーズでグラタン仕立てにした定番メニューもこんなにおしゃれ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/1280wm/img_6b364a5c67e17df0d1ca4f3e91d69b34160351.jpg)
持続可能性、地産地消など、環境と人間の未来に誠実に向き合う美食というコンセプトは、パリの偉大なる“dame(貴婦人)”を舞台にしたこの最新ブラッスリーでも生かされている。
ところで、ランチやディナーで訪れる際は、ウェブサイトでの予約がおすすめ。エッフェル塔へ登るにはリフト券が必要だが、予約があれば専用受付から第1展望台(高さ58メートル)までスムーズにアクセスできる。
![濃厚なカカオの香りから素材のよさが伝わる“プロフィトロール”。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/1280wm/img_b1731b5d419415934a89a720db9df74384140.jpg)
高層ビルのないパリの景観を満喫するなら、この高さがちょうどよいかもしれない。ただし、食後に上層階に行きたい場合は、事前に別のリフト券購入が必要(第1展望台では購入不可)。
また、リフト券さえあれば、予約なしでもOKの朝食や軽食、アペリティフを楽しむことも可能だ。
鉄の貴婦人の内側で鼓動するハートのように、パリのリズムを刻む場所。それが「マダム・ブラッスリー」なのだ。
![軽量かつ環境に配慮した建築自体に一見の価値あり。コース 60.4ユーロ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/1280wm/img_872554e5ddcaf854e89ea8757efee17f254532.jpg)
Madame Brasserie(マダム・ブラッスリー)
所在地 Tour Eiffel 75007 Paris
電話番号 01 83 77 77 78
営業時間 ラウンジ 10:00~22:00、レストラン(12:00~、13:30~、18:30、21:00~のいずれかの時間帯で要予約)
定休日 無休
https://www.restaurants-toureiffel.com/fr/madame-brasserie.html
![](https://crea.ismcdn.jp/common/images/blank.gif)
Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.03.20(水)
文=鈴木春恵
撮影=武内正夫
編集=矢野詔次郎
CREA Traveller 2024 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。