成長していくにつれ、「こんな映画を観たよ」、「こういうミュージシャンがいるよ」、「世界って広いよね」と話せる唯一の友だちになりました。2人とも日本にいるとちょっと窮屈で、外に出たい、世界を見たいと志向していたから、本木さんから「今インドにいます」というハガキが届いたりしました(笑)。ずっとそうやって、付かず離れずの友だちですね。

 

内田 今日出かける前に、本木に小泉さんとの思い出を聞いてみたんです。20代のときに初めて連続ドラマで恋人を演じたことがあったそうですね(「あなただけ見えない」1992年、フジテレビ系)。そのときに、若いのに上からモノを言うようなスタッフさんがいて、本木も「なんか危ういな」と思っていたんだそうです。

 すると今日子さんがスパーンと、「あなた、そんなふうに何でもわかったように思っていたらダメよ。足を掬われるわよ」と注意したんですって。

小泉 覚えてないけど、言ったんでしょう(笑)。

内田 モノを作る者同士として言うべきことは言う。自分が不愉快だからではなく、相手が大失態を起こしてからでは遅いから言うんですよね。つまり相手に寄り添って注意する。本木は「かっこいいな」と羨望の目で見ていたんですって。

「生まれもって覚悟が……」樹木希林による小泉今日子評

小泉 お父様の内田裕也さんとは、崔洋一さんの初監督作品であり私にとっては映画デビューであった『十階のモスキート』(1983年)でお会いしているし、お母様の樹木さんとはテレビドラマ『女の一生』(1985年、テレビ朝日系)で共演させていただきました。

内田 母は折に触れて今日子さんを見てきて、「誰に対峙しても、どんな状況でも自分の態度を変えないっていうことは、きっと生まれもってそういう覚悟が備わっている人なんだね」と言っていました。本当に生まれたときからそういう人だったんですか? なんて生まれたときのことをご本人に聞いてもね(笑)。

2024.02.11(日)
文=こみねあつこ