山口 その時、こんな厳しい日程をこなせるのは眞子さましかいない、お姉さまだし、抜群の安定感があるしと思いました。その頃の佳子さまはいつも所在なさそうで、どこか遠くを見ているような感じでしたから。それが今回はペルーの手話も披露されたりと大活躍で、この方はきっと公務というものを引き受ける、その決意をされたのだと思いました。
大久保 佳子さまは皇族としての役割、公務に対する思いというものをきっちりと持つようになったのではないでしょうか。
矢部 ジェンダー平等についての発言を積極的にされていますよね。
最近の佳子さまに感じる、うちに秘めた熱いパッション
大久保 9月の東北大学でのスピーチは素晴らしいものでした。日本で初めて女子大学生が誕生して110年の記念式典で、佳子さまは仙台市に日帰りで行かれました。
矢部 鳥取で新型コロナウイルスの罹患がわかってから、初めての外出でした。
大久保 日本の大学生に占める女性の割合が理工系で低いこと、女性の数学や科学のリテラシーは男性に比べ決して低くないことを統計的に説明したうえで、「せっかくの高い能力が十分に生かされていないことは、残念です」と述べられました。「残念」という感情を表す言葉を皇族が使うのはあまりないことで、佳子さまのジェンダー問題に対する強い思いを感じました。
矢部 全文を拝見しましたが、とても熱がこもった文章でウルッときました。
大久保 なぜそうなったかと考えると、やはり姉の眞子さんの結婚のことが大きかったと思います。なぜ姉が、こんなにもバッシングに遭わなくてはならないのか。その思いがずっとあったのではないでしょうか。眞子さんが結婚した日、取材陣の前でハグをされました。よくよく感情があふれてのことだと思います。
山口 孤立無援の中、姉妹だけが分かり合って、助け合ってきたのですよね。そういう姉がいなくなり、とてもつらかったと思います。いけない、なんだか涙が出てきちゃった。私はその時、佳子さまもすぐに結婚して皇室を出ていかれるだろうと思いました。でも、むしろ運命を引き受けて、姉のような女性の立場を変える。そういうメッセージを発しようと決意されたのですね。
2024.01.23(火)
文=矢部万紀子