ローマの街並みを一望する窓からの景色も必見
そのクイリナーレ宮殿の馬小舎が展覧会スペースとして生まれ変わったのは1999年のこと。当時、キリスト生誕2000年を祝うカソリック教徒の一大行事「大聖年」を控えたローマには国から多額の補助金が与えられ、それを機に多くの遺跡や建造物が修復された。おそらくその一環だったのだろう。
スクデリエ・デル・クイリナーレの内装・修復を手がけたのは、イタリアを代表する女性建築家、ガエ・アウレンティ。展覧会をひととおり見終え、動線に従って歩くと、一面ガラス張りとなっている大きな窓に辿り着くのだが、そこで目にするローマの街並みは一見の価値ありだ。展覧会だけでなく、こういった素晴らしい風景や、建物そのものの美しさが同時に楽しめるのも、スクデリエ・デル・クイリナーレの魅力なのである。
現在、開催されているのは、没後2000年となる初代ローマ皇帝アウグストゥス展(2014年2月9日まで)。ヴァチカン美術館やカピトリーノ美術館など、イタリア国内の主要美術館だけでなく、ルーブル美術館、大英博物館、アテネ国立考古学博物館など、海外からも集められ展示されている作品数は200点に及ぶ。スクデリエ・デル・クイリナーレでは、ここ数年、人物に焦点を当てた企画展が多く、春にはティツィアーノ展が行われた。とくに3年前、没後400年を記念して開催されたカラヴァッジョ展は連日行列ができるほどの盛況ぶりだった。なお、2014年3月20日から7月13日までは、メキシコの現代絵画を代表する画家、フリーダ・カーロ展が行われる予定だ。
スクデリエ・デル・クイリナーレ(Scuderie del Quirinale)
所在地 Via XXIV Maggio 16,Roma
電話番号 06-3996-7500
URL http://english.scuderiequirinale.it/Home.aspx
アウグストゥス展(Augusto)
開催期間 2014年2月9日(日)まで
開館時間 日曜日~木曜日10:00~20:00/金、土曜日10:00~22:30
入場料 12ユーロ (26歳以下/65歳以上 9.50ユーロ)
村本幸枝 (むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で日伊文化交流サロン「アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている
日伊文化交流サロン「アッティコ」:http://www.attico.net
text & photographs:Yukie Muramoto