古代ローマ時代の神殿の一部も残る歴史的建造物

スクデリエ・デル・クイリナーレが修復を終え、展覧会スペースとして誕生したのは1999年

 ローマ歴史地区とヴァチカン市国。同じ街のなかに2つの世界遺産エリアを持つローマには王道の観光ポイントがそこかしこに点在する。しかし、その影に隠れた穴場スポットも実は多々存在するのだ。そのひとつが、大統領官邸であるクイリナーレ宮殿の向かい側に位置し、年間3~4本の割合で企画展を開催しているスクデリエ・デル・クイリナーレ(Scuderie del Quirinale)である。

向かい側にある大統領官邸、クイリナーレ宮殿

 スクデリエとはイタリア語で馬小舎の意。その名のとおり、16世紀から19世紀まではローマ法王の別荘として、王制時代はサヴォイア家の王宮として、そして、イタリアが共和国になってからは大統領官邸として、時代に応じて様々な役割を担ってきたクイリナーレ宮殿の厩舎として建てられた。敷地内には古代ローマ時代の神殿の一部も残っており、馬小舎と言えども価値ある建造物に違いないのだが、地元ロマーノたちでさえ、その存在を知る者は皆無に近かった。

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text & photographs:Yukie Muramoto