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花市場で出会ったタイのカラフルな生花たち

 まずは、パーク・クローン花市場の目抜き通り、チャククラペット通りをめざしましょう。通りの両側に花屋さんが軒を連ね、バラ、ラン、カーネーション、キクなど、日本でもおなじみの日常使いの切り花が所狭しと並んでいます。

 バラはタイでも人気で、たくさんの種類を見ることができます。以前訪れた時よりも色や種類がさらに豊富になっていました。タイの花市場は刻々と進化しているようです。

 タイを代表する花、ランの種類も豊富です。日本にも大量に輸出されているデンファレが山のように積まれている姿は圧巻。カラフルでトロピカルな雰囲気のモカラも充実しています。

 少し探せば大輪のバンダや珍しいパフィオペディラムにも出会えます。バンダやパフィオペディラムは一本でも豪華で様になるので、観光の途中で買っても持ち歩きに困ることがなく、ホテルや滞在先に飾って余韻を楽しむこともできます。

 クルクマも日本への輸出量が多い切り花で、市場内で様々な種類を見ることができます。ウコンの仲間、ショウガの一種で、花のように見える綺麗な苞が特徴的です。花持ちが非常に良く、日本の夏には欠かせない花になりつつあるうえ、近年品種改良が進み、縁に色が入ったものや小ぶりのもの、中にはバラのような咲き方をするものも登場しています。

 小籠包のように見えるものは蓮のつぼみです。蓮の切り花を咲かせるのは非常に難しく、日本でも花ではなく、つぼみを愛でることが多いですが、そのつぼみがブーケ状になって売られているとは、なんとも贅沢! 花の生産が盛んなタイならではですよね。

 パーク・クローン花市場には何度も足を運んでいますが、今回新たに発見したのがこちらのクチナシです。甘い香りがし、つやっぽい花と葉が美しいクチナシですが、花びらが退色しやすいため、日本で流通しているのはほぼ100%国内産。輸入もできないので、日本では旬の時期の5、6月のわずか2カ月ほどしか出回らない幻の切り花となっています。

 タイの花市場では、丁寧に水につけられたものが袋に入った状態でちょこんと並んでいました。日本でクチナシの旬を逃してしまった方は、タイでクチナシの香りを楽しむのもおすすめです。

2023.08.30(水)
文=佐藤俊輔