4月21日に前編が公開され、6月30日に後編が公開予定の実写映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」。封切りされたばかりの前編が公開3日間で観客動員数40万人を超える大ヒットとなっている。ヤンキーの消えた令和に、なぜ「東京リベンジャーズ」はヒットするのか。フリーライターの加山竜司氏による連載「ヤンキー漫画と日本人」の第1回(「文藝春秋 電子版」2023年4月29日配信)を部分転載します。

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出版不況の最中に迎えた「空前の漫画ブーム」

 2017年から2022年にかけて「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されたマンガ『東京卍リベンジャーズ』(和久井健)は、コミックス全31巻の累計発行部数が7000万部を超える歴史的な大ヒットとなった。TVアニメ化(第一期:2021年、第二期:2023年)を機に若年層を中心にウケ、2021年に公開された実写映画の興行収入成績は43億円以上を記録。さらに実写映画の続編は、今年4月21日から『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』、6月30日から『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の公開が予定されており、TVアニメ第三期の制作もすでに発表されている。

 全国出版協会・出版科学研究所調べによると、2022年のコミック(紙+電子)市場の推定販売金額は2018年から5年連続の成長で、1978年の統計開始以来、過去最大となる6770億円を記録した。「週刊少年ジャンプ」(集英社)が653万部を発行していた1995年の5864億円をはるかに上回る販売金額だ。さすがに2022年は前年比0.2%増と、高止まりした感は否めないが、出版不況が叫ばれてひさしい昨今において、いまや空前の「マンガブーム」を迎えている。

 このブームは、電子書籍の普及とコロナ禍の巣ごもり需要が相まってのものと推測されるが、『東京卍リベンジャーズ』は『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)や『呪術廻戦』(芥見下々)と並び、コロナ禍の状況下で飛躍的に発行部数を伸ばした代表格であり、令和時代を象徴するエンターテインメント作品のひとつといえる。

2023.05.09(火)
文=加山竜司