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ミルフィーユ、ガレット・デ・ロワ……すべておいしいのに、どうしてあのお菓子だけ!

 子供の頃から好きなケーキといえばミルフィーユでしたが、これも記憶に残るものとまったく違います。クリームと層になっているパイはしっとりしているものと思っていたのに、近所のパン屋さんで買うミルフィーユのパイはパリッパリ。

 クリームもコクがあり、「普通のパン屋さんでこのレベル!?」と目を見張りました。

 また、それまで存在も知らなかったのにすっかりハマってしまったのが、ガレット・デ・ロワ。1月の公現祭の日に食べるパイで、中にフェーブという小さな人形が入っています。切り分けた際にこのフェーブが当たった人は1年間幸運が続くとされて王冠をかぶる、そんなゲーム的食べ方も楽しいケーキ。

 パイの中にアーモンドクリームが入っているだけのシンプルなものゆえ職人の腕が試されるそうで、毎年雑誌や新聞でも“ 今年のベスト・ガレット・デ・ロワ”が発表されたり、コンクールが開催されたりします。我が家では今のところ、“焼き立てのガレット・デ・ロワが一番美味”という意見になっているのですが、それでも1月になると「この時期しか食べられない!」という焦りもあり、いろいろなお店の味を試してみたくなります。

 ショコラティエも美味しいところがたくさんありますが、私の一番のお気に入りはジュリアン・デシュノ(Julien Dechenaud)のチョコレート。友人に勧められて試したところ、カカオの味が濃厚で非常に美味しいのに、値段はお手頃。

 商品を買うと「おひとついかがですか?」と味見チョコをいただけるのも、毎回お菓子をもらった子供のような気分で嬉しかったり。冬季限定で登場するマロン・グラッセも甘すぎず絶品で、今やこちらのお菓子が、手土産や贈り物、そして日本へのお土産としても我が家の定番となっています。

 美味しいスイーツ揃いのパリなのですが、唯一の不満としては、満足のいくモンブランがないこと。「モンブランはフランス発祥なのでは?」と思われる方も多いようですが、発祥とされているのはシンプルな家庭のお菓子で、日本のようなケーキではないのだそう。

 アンジェリーナやセバスチャン・ゴダールといった有名パティスリーではモンブランを取り扱っていますが、メレンゲが入っていたりマロンクリームがこってりで甘かったりと、私の思い描く日本的モンブランとはどこか違う。おかげで毎年秋になると、どうしても日本の栗の味が恋しくなってしまうのです。

井筒麻三子(いづつ・まみこ)

エッセイスト、ライター。米ボストン大学大学院修了後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。『25ans』等の編集者として7年勤めたのち退職し、フリーランスに。ビューティ エディター&ライターとして活動する傍ら、文藝春秋『クレア・トラベラー』編集部にも5年在籍し、旅取材などを担当。2014年よりフランス在住。日本語・英語・仏語の3ヵ国語に通じており、著名人インタビューやパリ、フランスのニュース取材などを数多く手がける。2020年より、パリでの日々の暮らしや蚤の市での買い物、レシピなどを紹介するYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』をMamikoとして、フォトグラファーである夫Yas(愛称ツーさん)と共にスタート。2023年3月現在で、35万人の登録者を誇る人気チャンネルとなっている。Instagram:@mamigorota
撮影Yas https://www.yasphoto.info/

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2023.04.23(日)
Text=Mamiko Izutsu
Photographs=Yas