大村 86歳の頃は腹囲が92センチありました。そこから週2回ジムに通うようになって、今朝測ったら77センチでした。

 巽 腹筋がなくなるのが一番まずいんです。以前のお腹は腹筋よりも脂肪が多い。筋肉は使わないと脂に変わり、たるんでいきます。日本人のほとんどは腹筋を意識して鍛えていないからたるんでいますね。

 大村 僕も5年前は日本人のお腹の典型だったということやね。

 巽 お腹がたるんでくると、腰椎が前後にグラグラします。腹筋の押さえがないから。腹と腰の間にある背骨の中には、脳から脊髄神経が通っている脊柱管というものがあります。この管が、ズレ出てきた腰椎によって圧迫されるんです。脊柱管狭窄症って知っていますか? 症状としては足がしびれたり、膝がカクッと崩れたりするんですけど。

 大村 聞いたことあるな。

 巽 その原因で多いのが、たるんだお腹です。では腹筋をどう鍛えればいいか。一般にイメージするような、仰向けになって上半身を起こす動きはあまりおすすめできません。

 大村 ジムでもやらないですね。

 巽 高齢の方も取り入れやすい体操を一緒にやってもらってもいいですか。主な手順は次のとおりです。

 

簡単にできる筋トレのやり方はコレだ

 巽 主な手順は次のとおりです。

(1) 背筋を伸ばして立つか、椅子に座る。お腹に手を置く
(2) 呼吸しながら、腹筋に力を入れておへそをゆっくりと引っ込めていく。お腹の皮を背中にくっつけるイメージで行う
(3) 腹筋に力を入れたまま肛門をキュッとしめ、5秒数えたらハーッと息を吐いて全身の力を抜く
(4) これを10回繰り返す

 大村 「お尻の穴を締めてください」はジムでもよう言いますわ。

 巽 お尻の穴を締めるのはウンコを落とす時の筋肉で、骨盤底筋群といいます。これが衰えると内臓を支える力が弱くなるんです。

 大村 この体操は簡単でいいね。

 巽 腹筋がない人にはこれが一番おすすめです。脊柱管狭窄症の症状のあった人で、この体操で脊椎が前後にグラグラしなくなり、症状が改善した方がいらっしゃいます。

2023.03.18(土)
文=大村 崑,巽 一郎