1997年オスカープロモーション主催「第7回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞を受賞し、2000年に俳優デビューして以来、第一線で活躍し続ける上戸彩さん。そんな上戸さんが出演する映画『シャイロックの子どもたち』が、2023年2月17日より公開します。

 本作は、東京第一銀行の小さな支店のベテランお客様係・西木雅博(阿部サダヲ)が、同支店で働く仲間と共に、銀行内で起こった現金紛失事件の裏側を探っていくうちに、あるとてつもない事実にたどり着いていく物語。池井戸潤さんの同名作品が原作ですが、映画版はそれとは異なる完全オリジナルストーリーで描かれます。

 本作で、西木と共に現金紛失事件の裏側を探る銀行員・北川愛理を演じた上戸さんに、撮影時のエピソードや映画を通して思ったこと、自身のお金の価値観などをうかがいました。


自分の中ですべてのタイミングがマッチした作品

――上戸さんが本作のオファーを引き受けられた理由を教えてください。

 阿部サダヲさんは大好きな役者さんだったので、いつか共演してみたいなとずっと思っていました。過去にもお話をいただいたことがあったのですが、タイミングが合わなかったこともあって、中々ご一緒する機会がなかったんです。でも今回は作品の内容といい「これならできる」と自分が思えたので、ご一緒出来てすごくうれしかったですね。

 実際の阿部さんは想像した通りの方でした。ボソボソと話す言葉がブラックジョークのようで、一言一言がツボでした(笑)。

――上戸さん演じる北川愛理は、銀行内で紛失した100万円の帯封がロッカールームのカバンから出てきたことで犯人の疑いをかけられてしまいます。その時、阿部さん演じる上司の西木が北川をかばうシーンがありましたが、こういった上司と部下の関係性を演じられていかがでしたか。

 西木さんにかばってもらうシーンでは、女性だから優しくしているという風に見られたくなかったので、あまり女性っぽさを出すようにはしたくないなと考えていました。愛理は犯人の疑いをかけられて泣いてしまうような「女の子」っぽいところもあれば、「私はやっていません」と、ちゃんと「ノー」を言える人でもあるので、そこの強さも出しながらキャラクターとしてはあまり目立たないように意識していました。

――先ほど、「この作品ならできる」と仰っていましたが、その理由をもう少し詳しく聞かせていただけますか。

 私は今家庭を持っているので、母親としてのスイッチと仕事のスイッチが自分の中にあるんです。そのバランスも日によってメンタルを含め全然変わってくるので「重い役はちょっとできないだろうな」とか「これだけ出番があると現場の方に迷惑をかけちゃうだろうな」と、色々なことを考えてきた中で「この作品だったら自分も余裕を持って、楽しんでできそうだな」と、全てのタイミングがマッチしたんですよね。

 初めは阿部さんと共演したい一心で入ってみましたが、そうそうたる豪華なキャストのみなさんとご一緒できて、監督も本当にすてきな方でいい出会いがいっぱいありました。橋爪(功)さんにも久しぶりにお会いできたり、柄本(明)さんとはプライベートな会話ができたり「やってよかったな」と思える時間がこの作品ではたくさんありました。

2023.02.16(木)
文=根津香菜子
撮影=平松市聖