そして、新たな感性が育まれている

「京都の新しい風」

 京都の伝統は、根底にあるその本質を変えることなくテクノロジーや社会の変化に応じて柔軟に、大きく、進化してきた。

 新しいクリエイティブが、今日も現在進行形で生まれ続けている。

◆Re:planter(リプランター)/村瀬貴昭さん

 直径50センチのガラスの球体は、Wi-Fiで中の環境をコントロール。

 多忙な現代人向けのマクロな中庭照明“スペースコロニー”は、新たな盆栽の形でもある。

 「今回は、梅を咲かせました」と制作した村瀬貴昭さん。日本独特の盆栽という自然界の小宇宙の表現を、全く新しい観念で捉える。

村瀬貴昭さん

祖父の盆栽を見て育ち、アクアテラリウム、珍奇植物蒐集を経て、2012年より「Re:planter」として活動。

Re:planter(リプランター)

https://replanter.com/
※写真は、4月開業のホテル「GENJI KYOTO」にて。ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULICやGOOD NATURE STATION(四条河原町)にも作品が。

「沖縄の新しい風」

 奇跡のように受け継がれた伝統工芸が息づく一方、島のおおらかな空気のなかで自由な物作りに邁進する作家も多い沖縄。独自の感性が溢れ出す作品になぜか不思議と沖縄らしさを感じてしまう……。

 これこそ、この島がもつ力なのかもしれない。

◆Yoshiaki Imamura(いまむらよしあき)/今村能章さん

 「沖縄には、目に見えないものを大切にする文化が今も残っていますよね」と語る陶芸作家・今村能章さん。

 目に見えない重力を表現したワイングラスをはじめとした実験的な作品には、ガラスと磁器を融合させるなどの極めて難度の高い技が秘められている。そして、それを発想する卓越した創作魂は、この沖縄という島でこそ宿るのだ。

今村能章さん

兵庫生まれ、沖縄県立芸術大学に学ぶ。「1,000年後の人が、驚くようなもの、作っていきたいですね」。

Yoshiaki Imamura(いまむらよしあき)

Instagram @yoshiaki_imamura
アトリエの開放日はインスタグラムをチェック。GARB DOMINGOなどで作品は購入可能。

Text=Maki Takahashi、Shojiro Yano、Saori Goya
Photographs=Masuhiro Machida、Nanae Suzuki、Akira Nakata、Atsushi Hashimoto、Takashi Shimizu