ともに長い歴史に支えられた伝統が息づく街でありながら、全く違う表情を持つ京都と沖縄。それぞれ違う魅力を持ちながら私たちを惹きつける、そんな二つの魅惑の街に通底する美意識を5つの視点から探りました。
ここには、美しい日常がある
「京都の伝統菓子」
京都の日常には、四季折々の彩りを慈しむ暮らしの文化が今も息づく。
日々、季節を映して老舗のショーケースに並ぶ京菓子には、その粋が凝縮されている。
京菓子は、季節の歳時や人生の節目に寄り添う、名脇役だ。
◆鍵善良房(かぎぜんよしふさ)
花街・祇園、八坂神社前にある江戸享保年間創業の老舗。
15代目当主の今西善也氏が「ざんぐりとして艶やかで愛らしい」と表現するお菓子は、昔ながらの製法を受け継ぎながら、京の季節を映し、素材を吟味して丁寧に作られる。
店内奥の茶房でのみいただける、本葛を使った“くずきり”も絶品。
鍵善良房(かぎぜんよしふさ)
所在地 京都市東山区祇園町北側264
電話番号 075-561-1818
営業時間 9:30~18:00(喫茶は10:00~18:00)
定休日 月曜(祝日は営業、翌日休)
https://www.kagizen.co.jp/
「沖縄の伝統菓子」
沖縄名物としてお馴染みの“ちんすこう”をはじめとした伝統菓子。
かつて琉球王府の貴族が口にした逸品が、時を経て現在では広く人々に愛される銘菓となった。
琉球漆器に盛り付け、古き時代に思いを馳せながら味わえば、その美味しさも格別。
◆新垣カミ菓子店(あらかきかみかしてん)
琉球王家伝承の正統な製法を受け継ぐ名店の菓子は、保存料などは一切入れず、宮廷菓子本来の美味しさを伝える逸品だ。
◆角萬漆器角萬漆器(かくまんしっき)
琉球王府の漆職人だった初代より技と美学を継承する、沖縄現存最古の老舗。“堆錦(ついきん)”の技法が生み出す華麗な世界観が素晴らしい。
新垣カミ菓子店(あらかきかみかしてん)
所在地 沖縄県那覇市首里赤平町1-3-2
電話番号 098-886-3081
営業時間 9:00~17:30
定休日 日曜
http://arakaki-kami.com/
角萬漆器(かくまんしっき)
所在地 沖縄県那覇市前島2-1-6
電話番号 098-867-1591
営業時間 10:00~17:00
定休日 日曜
https://kakuman.jp/
Text=Maki Takahashi、Shojiro Yano、Saori Goya
Photographs=Masuhiro Machida、Nanae Suzuki、Akira Nakata、Atsushi Hashimoto、Takashi Shimizu