橋本は個人総合を振り返って、最後に挑んだ鉄棒では《緊張もあったのですが、通しきれたら間違いなく金メダルを獲れるし、楽しい試合にできると思っていたので、最後は楽しんで一周一周の車輪を大きく回していました》と語っている(『Number』2021年9月9日号)。

 和歌山出身の四十住は、地元の練習場で子供に教えることもよくあり、怖がっている子には「そんなときこそ楽しんで!」とアドバイスしているという(『文藝春秋』2021年1月号)。ここ一番というときこそ楽しむというのは、この世代のアスリート全般に共通する信条なのかもしれない。

サッカー日本代表・久保建英

 東京五輪の男子サッカーでは、グループステージでMFの久保建英(スペイン・マジョルカ/6月4日生まれ)が3試合連続で先制ゴールを奪う活躍を見せたが、準決勝、3位決定戦と連敗してメダルには届かず、涙を飲んだ。

 久保は昨年9月、けがのためマジョルカとW杯アジア最終予選の日本代表から一時離脱するも、11月にはマジョルカに復帰。この年明けは2日と5日の試合こそ欠場したものの、8日のレバンテ戦では招集メンバー入りした。今月27日と来月1日には埼玉でのW杯最終予選の中国戦、サウジアラビア戦も迫り、出場するか注目される。

 来月に迫った北京冬季五輪では、フィギュアスケート・ペアの日本代表として三浦璃来(12月17日生まれ)の木原龍一との出場が決まっている。

 ウィンタースポーツのなかでも、とりわけ若い世代が多いスノーボードでは、スロープスタイルとビッグエアの大塚健(4月2日生まれ)・國武大晃(2月10日生まれ)・岩渕麗楽(12月14日生まれ)、ハーフパイプの戸塚優斗(9月27日生まれ)や平野流佳(3月12日生まれ)がすでにW杯やX Gamesなどの国際大会で実績を残している。この前後の年代にも才能がひしめくだけに、五輪出場枠をかけての競争も熾烈だ。

 

 プロ野球では昨年、入団2年目のこの年代の選手たちの活躍が目立った。オリックスの25年ぶりの優勝には、開幕より先発投手としてローテーション入りし、13勝・防御率2.51の成績を収めてパ・リーグの最優秀新人賞に輝いた宮城大弥(8月25日生まれ)のほか、遊撃手としてレギュラーに定着した紅林弘太郎(2月7日生まれ)が貢献したところも大きい。

2022.01.19(水)
文=近藤正高