「キングサーモン×ニジマス」交配で誕生した「富士の介」

 世の中にサーモン好きな人が多いのも、回転寿司で人気ランキングの上位に入っているのも知っています。でも、苦手なんです、あの乗りに乗った脂と匂いが!

 ところが今回、山梨県が総力をあげて育成している「富士の介」を食べてから認識が一変。too muchな脂もなく、サーモン特有の匂いも控えめ。そんな上品なサーモンが登場したのです!

 清らかで水質に優れた天然水に恵まれている山梨。年間通じて冷たい水温の名水が豊富に確保できる、魚の養殖に適した土地です。

 そんな水を贅沢にかけ流して育てられる「富士の介」が山梨県水産技術センター忍野支所で誕生したのは2017年のこと。希少性と食味に優れた山梨県オリジナルのサーモンを作ろう! と県が総力を挙げた取り組みが実を結びました。

 日本屈指のニジマス養殖地である山梨は、美味しいニジマスの養殖には自負があるものの、キングサーモンの養殖には消極的でした。

 キングサーモンは、サケ・マス類の中ではサイズも大きく、適度な脂と豊かな旨みに定評がありながら、そもそも淡水では育てにくいという難点が。エサをあまり食べないから大きく育たない……。淡水が苦手なんですね、キング。

 そこで、養殖しやすいニジマスとキングサーモンを交配することで、「エサをよく食べる」「淡泊で美味しい」ニジマス&「サイズが大きい」「脂がのっている」「旨みが非常に強い」キングサーモンの、両者のいいとこ取りが実現! 育てやすくて美味しいご当地サーモンの誕生に繋がったというわけです。

文・写真=CREA編集部