ビーチのない島で、青い海を楽しむ

 南の島といえば、青い海も満喫したいもの。

 でも、断崖絶壁の島・南大東には砂浜はありません。

 その代わりにあるのは、島内に2つある“プール”。

 崖の下の岩場をくり抜いて造られたもので、満潮時には海のなかに沈み、干潮になると現れます。

 波がザブーンと打ち寄せる、野趣あふれるプールのなかには南洋の小さな魚たちがのんびり泳いでいて、気軽にシュノーケリングも楽しめます。

 もうひとつ、南大東島で必見といえば、鍾乳洞。

 サンゴが隆起してできた小さな島内には、なんと100を超える鍾乳洞があり、なかでも規模が最大級で、とくに美しいといわれているのが、星野洞です。

 洞のなかに入ると、広がっているのは、幻想的かつ神秘的な地下空間。

 「さとうきび畑の真下に、まさかこんな空間が広がっているなんて……」

 その光景に誰もが驚き、圧倒されます。

星野洞案内所

電話番号 09802-2-4333
入洞料 大人 800円 子供350円
入洞受付時間 9:00~11:00(12:00CLOSE)、14:00~16:00(17:00CLOSE) ※見学の所要時間は約40分
無休

 さて、島内探索を楽しみながら、孤島のグルメを味わう旅。ぜひ訪ねてみたかったのが、「グレイス・ラム」。

 原田マハさんの小説『風のマジム』のモチーフにもなった、さとうきびの島で生まれ育ったラム酒工場です。

 さとうきび畑のなかに立つ、南大東空港と書かれた古びた建物が、その工場。

 島で育ったさとうきびを使い、試行錯誤を重ねながら2005年にラム酒「COR COR(コルコル)」は誕生しました。

 瓶詰め、ラベル貼りまでひとつひとつ手作業で、2人のラム酒職人さんによって大切に造られるお酒は、無添加・無着色仕上げ。

 透明感のあるすっきりとした口あたりで、気持ちが晴れやかになるお酒です。

 現在、3タイプのラム酒を造っていて、なかでも「COR COR AGRICOLE(コルコル アグリコール)」は、搾り立てのさとうきび汁を発酵させて製造するもの。

 このタイプのラム酒造りに取り組んでいるのは、世界的にみても、本当にごくわずかのメーカーのみ。毎年、新酒の誕生を楽しみにするファンも多い逸品です。

 日々、さとうきび畑を眺める暮らしのなかで育まれる至福のお酒。

 どの畑のさとうきびが、次の酒造りにはいいだろう……。それを見てまわるのも大事な仕事だといいます。

 生産本数は年間約1万本。その貴重な1本は、もちろん工場でも購入可能です。

グレイス・ラム

電話番号 09802-2-4112
https://rum.co.jp/
※見学は要予約。繁忙期などは、対応できない場合もあります。

2020.12.08(火)
取材・文=矢野詔次郎
撮影=志水 隆