第5条 公共施設での注意

 プールや体育館などの公共施設に感染対策のアドバイスを依頼されることも多い堀氏。そこでよく見かけるのが、更衣室のロッカーを2つか3つ飛ばしにして、実質的に利用者数に制限をかけているところだという。

 「密接になることを恐れてのことなのですが、この距離でマスクをしないで会話をすれば危険ですが、そうでなければ全部のロッカーを使えるようにして大丈夫です。同じことは、東京都知事選挙の時の記入台でも見かけました。

 でも考えればわかるように、投票用紙に候補者の名前を書く時に、隣の人と会話をする人はいないのだから、間をあける必要などないのです。

 ちなみに、投票用紙に記入する際の鉛筆は、一人が使うたびに消毒するべきか、と質問を受けたことがありますが、投票所の入り口で手の消毒をすることが前提なら、鉛筆を毎回拭く必要はありません」

 新型コロナに関する知見を常にアップデートし、対策をスリム化していくことで、より効率のいい感染予防を講じることができる。もう、その段階に来ているのだろう。

 「文藝春秋」11月号及び「文藝春秋digital」掲載の「やり過ぎだらけの感染対策」では、古い常識や誤解によってもたらされる医療現場での混乱の実態などについても、堀氏が詳しく解説している。

2020.11.10(火)
文=長田 昭二