開拓の時代より大いなる自然に立ち向かってきた北海道の人々が人の手による「庭」を創る時、それは伸び伸びとおおらかで、土地の歴史やそれ以前からその地に息づく生命の連続を今に紡いでいるかのようだ。

 北の大地に抱かれる北海道の庭は、みなぎる生命の歓びに溢れている。そんな、おすすめの庭園や美術館などの施設を8つ紹介。


見て 触れて 香りに包まれて 森と花と戯れ過ごす優雅な1日

◆大雪(だいせつ) 森のガーデン

散策路。雪に閉ざされる地の庭だからこそ、今を謳歌する花々が美しい。

 ひとしきり青々と茂る森と耕作地のグリーンの車窓を眺めて到着すれば、園内に足を踏み入れるや否や目の前に広がる溢れんばかりの色彩の氾濫に、みるみる心が浮き立つ。

ガーデンの向こうに標高2,000m級の山々が連なる大雪山連峰。

 大雪山連峰の山麓で広大な敷地を擁するこちらのガーデンで最初に迎えてくれるのは、色とりどりの草花が咲き乱れる「森の花園」だ。

枝まで白い白樺、ダケカンバは標高の高い地域にのみ生息。

 標高の高い立地を生かし、大雪山系の高山植物や北海道の自生種を植栽した一画、寒さに負けることのない四季の花が順次開花するよう植栽した一画など、北海道ならではの花々の中に身を置くことから森の1日は始まる。

背の高い植物を植栽したカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)の小道。

 上川町を訪れる人々を森での様々な体験でもてなそうと、元は町の農業公園や牛の放牧地として利用していた見晴らしの良い丘陵を造園し、2013年にオープンしたガーデンは、趣の異なる3つのエリアで構成される。

カンパヌラや色違いのデルフィニウムが共演する夏の庭。

 「森の花園」が約900種もの花々の共演なら、続く「森の迎賓館」はこの地の自然木と草花に囲まれたテラスや石窯のあるダイニングキッチン、緑豊かな環境のバーなど、自然の中でゆったり過ごせる配慮と設備を備えるくつろぎのエリア。

左:大雪山など、標高の高い山の頂上で見られるイワブクロ。
中央:高山植物のチングルマ。白い花の後のふわふわの種もまた、愛らしい。
右:可憐な黄色い花を咲かせた北海道自生種のエゾノキリンソウも高山植物。

 その奥には、森で採取する木片で工作をしたり、自家製のエッセンシャルウォーター製作を体験できるアトリエ棟、木立の中の揺れるベンチ、土地の高低差を利用し木々の合間に張り出す高台のテラスなど、森で過ごす日ならではのレクリエーションを提案する「遊びの森」が広がる。

森の工作アトリエ「チュプ」の横に大きなリング型の揺れるベンチ。

 フレンチの巨匠、三國清三シェフが監修するカフェとレストランも敷地内に。散策の合間の食事やティータイムも楽しみだ。

すり鉢状の起伏を生かした見晴らしの良い木陰のテラスも園内に。

 草花の観賞が目的の庭園ファンのみならず、北海道の自然をアクティヴに楽しみたい大人も子どもも楽しめる特別な一日を約束する。

大雪(だいせつ) 森のガーデン

所在地 北海道上川郡上川町字菊水841-8
電話番号 01658-2-4655
営業時間 9:00~17:00(最終入園 16時)
料金 800円
定休日 無休
https://www.daisetsu-asahigaoka.jp/
※2020年内は10月11日(日)まで

Feature

大地の鼓動に抱かれる
北海道ガーデン紀行へ

Text=Chiyo Sagae
Photographs=Asami Enomoto

この記事の掲載号

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CREA Traveller 2020年秋号

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