数々の名作の創造性を体感できる美術館へ
アーティゾン美術館を運営する公益財団法人石橋財団は建て替えのための休館中も作品収集を継続的に進めており、開館までに180点を超える美術作品と芸術家肖像写真約1,200点が新しくコレクションに加わることとなった。

抽象絵画の父カンディンスキーのバウハウス時代の作品。重なり合う多様な形態に曲線が流動感を与え、暖色と白の対比が輝きを放っている。
そのなかには、抽象絵画の父と称されるカンディンスキーなどの20世紀美術や、雪舟、尾形光琳といった日本の近世美術、さらに古美術、現代美術も含まれ、作品収集の視野はますます広がっている。
向かって右隻には美しい雌雄の孔雀、もう一方の左隻には赤・白・緑の色面の対比が印象的な立葵。大胆にして意匠的な表現は光琳ならでは。
中央に主山、麓には春に梅、秋に紅葉樹など四季の自然を描いた四幅対の山水図(写真左が秋幅、右が春幅)。近世日本美術のコレクションも必見。
その石橋財団コレクションは、石橋正二郎の個人コレクションを出発点としている。
戦前から実業家として成功を収め、やがてブリヂストンを大企業へと育て上げた正二郎だが、一方で自らの使命としたのが文化の向上や教育振興だという。特に力を注いだのが、美術作品の収集だった。

19~20世紀初頭の西洋の芸術家たちの肖像のヴィンテージ写真約700点、写真家安齋重男による1970年以降の芸術家肖像写真などを新たに収蔵。
文=張替裕子(Giraffe)
撮影=橋本 篤