◆アーティゾン美術館|ARTIZON MUSEUM

 「世の人々の楽しみと幸福のために」。それが、美術館創設者の信条だった。

 彼の想いとコレクションを引き継ぎ、さらなるアートの地平へと活動を拡げる美術館が、建て替えのための長期休館の後、「創造の体感」をコンセプトとして新たに誕生した。


DNAを守り、新時代を切り拓く都市型美術館

瓦や硯のような色と質感のスチールパネルを採用した外装デザイン。

 京橋の一角でひときわ目を惹く超高層複合ビル、ミュージアムタワー京橋。建替のための長期休館を経て、この1~6階に開館したのが、アーティゾン美術館、旧ブリヂストン美術館だ。

 株式会社ブリヂストンの創業者、石橋正二郎は、「ニューヨーク近代美術館のように、交通が最も便利な都心にあることが理想的」と、この地に美術館を設立したという。そのDNAを引き継いだアーティゾン美術館もまた、都会的でありながらも親しみやすく、誰にでも開放された空間となっている。

左:東京の中心に再び点ったアートの灯。新たな出会いへの期待。右:御影石正方形パターンの堂々たる円柱が立ち並ぶ外部エントランス。

 美術館のデザインを手がけたのは、国内外で多岐にわたる活動を展開しているデザイン事務所、トネリコ。美術館のシンボル的な円柱から、大ガラスで囲まれたエントランス、吹き抜けの大空間、そしてオリジナルの家具に至るまで、隅々まで繊細なデザインと素材へのこだわりが行き届いている。

都会の真ん中に待つ開放的な大空間。メインロビーには泡をモチーフにしたオブジェ「FOAM」が。
3~5階は吹き抜けで縦につなぎ、開放的な大空間を創出。

 また、4~6階を占める展示室は旧美術館の約2倍の面積に拡張し、大型作品も展示可能な天井高を確保。4~5階には吹き抜けも設けられ、様々な展示に対応できる自由度の高さが魅力だ。

内装は黒御影石などの自然素材で現代性と人の温かみを表現。

 新たな美術館のコンセプトは「創造の体感」。新時代を切り拓くアートの地平を感じ取ってもらいたいというその想いが、「ART」(アート)と「HORIZON」(地平)を組み合わせた「ARTIZON」という館名に込められている。

文=張替裕子(Giraffe)
撮影=橋本 篤

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