水の流れを辿って長井の蔵屋敷をめぐる

あやめは長井市のシンボル。あやめ公園は6月中旬から7月上旬が見頃。【問い合わせ先】長井市商工観光課 電話番号 0238-84-2111

 まちのマップを見ていて気づくのは、宮地区と小出地区が左右対称になっていることだ。それぞれの地区に、いくつもの蔵をもつ大店があり、味噌や醤油、酒の蔵元があり、神社がある。

白つつじ公園には、「七兵衛つつじ」と呼ばれる樹齢約750年の古木群がある。【問い合わせ先】長井市商工観光課 電話番号 0238-84-2111

 さらに、宮には100年以上の歴史をもつ「あやめ公園」があり、小出には3000株以上の白つつじが咲き誇る「白つつじ公園」がある。長井駅から最上川へ真っすぐに延びる道を中心線として、まちを二つに折りたたむと、重なり合う印象だ。宮と小出、二つの舟着場を核に、商店や問屋が集まり、競い合うようにまちが大きくなっていく様子が目に浮かぶ。

最上川舟運最盛期、米沢で一、二を争う商業地として栄えた長井。やませ蔵美術館を訪ねると、かつての繁栄ぶりが偲ばれる。【問い合わせ先】やませ蔵美術館 電話番号 0238-88-9988
左:様々な美術品が展示された蔵。
右:やませ蔵美術館の庭園を流れる水路。水音に耳を傾けながら散策してみたい。

 かつての長井の繁栄は、まちのそこここで見受けられる。小出のあら町通りには、江戸の昔から続く商家が残っている。元禄年間の創業で、長井でも指折りの豪商だった紬問屋「山清」。その敷地内にある10棟の蔵のうち5棟の蔵を開放して当主が蒐集してきた屏風や絵画、陶器を展示、「やませ蔵美術館」として公開している。そのなかには最上川舟運によって京や大阪から運ばれてきた工芸品も数多くある。最上川は塩や茶、木綿といった生活物資を運んできただけではない。上方の文化や芸術も川を遡ってきたのだ。

創業寛政元年の山一醬油店。現在の建物は大正時代に再建された。仕込み場には江戸時代からの水路があり、昔は深く掘り下げて、水の中に桶を入れて洗っていたという。【問い合わせ先】山一醬油製造所 電話番号 0238-88-2068

 その隣にあるのが、寛政元年創業の山一醤油店。国の有形文化財となっている仕込み場では今日も作業が続いている。ご飯のお供「あけがらし」は雑誌等でたびたび紹介されている人気商品だ。さらにその並びには旧丸中横仲商店の土蔵群がある。江戸時代に建てられた「江戸蔵」、明治初期に建てられた「砂糖蔵」や「質蔵」が広い敷地に並ぶ。蔵の空間を生かしてジャズライブなどの演奏会も行われている。

敷地内に5つの蔵が並ぶ旧丸中横仲商店。蔵の中では演奏会も行われる。カフェも併設。【問い合わせ先】WARM STONE 電話番号 0238-84-3411

Photo=Keiji Ishikawa、Yuki Funayama、Nagai City