東京から山形県長井市まで約3時間。緑豊かな、朝日・飯豊山系の懐に抱かれた長井のまちは、元禄の昔から最上川舟運で栄えた「山の港町」だ。豊かな自然と季節の花に彩られた長井の魅力を紹介する。

長井を育んだ置賜野川の清流を辿る

長井市小出地区にある立体交差水路。上側の水路からあふれ出た水を、下側の水路が受けとめるようになっている。江戸時代の絵図にも描かれている古くからの水路。

 長井という地名は「水の集まる場所」に由来するという。吾妻、飯豊、朝日、それぞれの山系から流れ出した河川は、長井の地で合流し、最上川としてひとつの流れになる。

初夏から初秋にかけて、町中を流れる水路では「梅花藻(ばいかも)」が可憐な花をつける。(写真提供:宇津木正紀氏)
かつては水路の水を敷地内に引き入れて生活用水として使っていた。

 長井はその河川のひとつ、朝日連峰に源を持つ置賜野川の扇状地に位置する。長井の町中には、野川から引き込まれた清涼な水が流れる水路が縦横に巡らされ、昔から木材の運搬や防火用水、生活用水として使われてきた。今でも長井の水道水はすべて朝日連峰の地下水でまかなわれているという。それも硬度18~20という良質の軟水だ。市街地には水路を辿る「みずはの小道」(「みずは」とは水の神様のこと)が設けられ、散策しながら水のまち・長井を実感することができる。

Photo=Keiji Ishikawa、Nagai City