低糖質vs低脂肪──結論は「自分に合うほうが勝つ」

 研究から「どっちが圧倒的に優れている」という答えは出なかった。なので、自分が継続できるかで取り入れるのがベター。

差は認められないうえ 個人差が非常に大きいことも判明

 「糖質を抜けばやせる」「脂肪を減らすべきだ」という2つの主張は、長年にわたってダイエット界で対立してきました。どちらが正しいのか、決着をつけようとした大規模な試験があります。

 スタンフォード大学のガードナーらは、過体重の成人609名を対象に、低脂肪食と低糖質食を12ヶ月間比較するランダム化比較試験(DIETFITS トライアル)を実施。12ヶ月後の体重減少量は、低脂肪食グループが平均5.3kg、低糖質食グループが平均6.0kgで、両グループの差はわずか0.7kgにとどまり、統計的に意味のある差は認められませんでした。多くの人が期待した「どちらかが圧倒的に優れている」という答えは、出なかったのです。

 さらにこの研究で浮かび上がったのは、どちらの食事法を選んでも、個人差が非常に大きいという事実です。同じ低糖質食でも、大きく体重が落ちる人もいれば、ほとんど変わらない人もいました。長期的な減量を予測する因子は、遺伝子型でも血糖値でもなく、「どちらの食事法を継続できるか」という継続性でした。

他のみんなより自分が続けられるかで実行したい

 栄養学的に理論上は優れた食事でも、自分の生活スタイルや好みに合わなければ、3ヶ月後には元に戻ってしまいます。続かなかった食事法は、どれほど優れた理論を持っていても、現実の体には効果をもたらしません。

 ここで注意が必要なのが、ケトジェニック食(糖質をほぼゼロにする極端な低糖質食)の長期継続についてです。動物実験では脂肪肝・血中脂質の異常・血糖コントロールの障害といった代謝的なリスクが報告されており、ヒトへの長期応用については慎重な検証が求められています。糖尿病などの既往症がある場合には、食事法の変更は必ず医師の指示のもとで行うことが前提です。

 食事の選択において、「みんながやせた方法」よりも「自分が無理なく続けられる方法」を探すことのほうが、はるかに重要。低糖質食と低脂肪食を1週間ずつ試してみて、食後の満足感・空腹感のタイミング・外食での対応のしやすさを自分で評価してみましょう。「これなら続けられる」と感じる方法が、あなたにとっての正解です。

今日の1アクション

低糖質食と低脂肪食のどちらが「自分の生活に続けやすいか」を10点満点で自己評価してみましょう。外食の多さ・料理の手間・食後の満足感などを基準に考えると、自分に合った方向が見えてきます。所要時間は約2分です。

» 【後篇を読む】「“とりあえずビール”の悪影響は…」「体重と同じぐらい重要な指標は?」科学的に実証されたダイエットメソッドが教える、夏太りに打ち勝つ方法

堀田秀吾(ほった・しゅうご)

明治大学教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了。2000年、立命館大学法学部助教授。2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションについて、社会言語学、心理言語学、脳科学など多岐にわたる学術分野を駆使した研究を行なう。研究以外の活動にも領域を広げており、企業の顧問や芸能事務所の監修、テレビやラジオでワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。著書に『科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)などあり、著書累計は135万部を突破。

木島豪(きじま・ごう)

東京医科大学卒業後、東京医科大学病院循環器内科へ入局。循環器専門医と内科認定医を取得後、平成20年に医療法人社団EPIC DAY東京メディカルクリニック平和台駅前病院の院長に就任。老化防止と体質改善を行う治療法に着目し、内科、皮膚科などの一般診療を主に行いつつ、予防医療を目的としたアンチエイジング内科を併設。著書は、『科学的に自分を思い通りに動かす セルフコントロール大全』(堀田修吾氏との共著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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