夜のドライブの先で…

 突然Uさんに肩を抱かれたHさんでしたが、何の話なのか見当もつきません。

「おい、Hさん困惑しちゃってるって」

「あ、冗談、冗談」

「いや、別に大丈夫……」

「先週の金曜日の夜に車でこいつらとドライブ行ったんすよ。んで、そのときにね――」

 Uさんが滔々と語り始めたのは、一同が先週金曜日の仕事終わりにUさんの家に集まって飲み会をしたときの話でした。

 仕事の愚痴やら学生時代のやんちゃエピソードやらで盛り上がっていた彼らは、次第に“社会人になって真面目になった今こそ、かつての自由さを忘れてはいけない”などと、よくわからない方向に火がついてしまったそうで、メンバーの1人が大学時代に先輩から聞いていたとある廃校に肝試しへ行こうということになったのだとか。

 Uさんがワンボックスカーを走らせ、一同は大盛り上がりのうちに市街地から離れた目的地の廃校に到着。

 人けのない学校はしんと静まり返っており、校門には鍵すらかかっていません。

 かつて児童たちで賑わっていたと思われるグラウンドには、ボロボロになったサッカーボールがひとつ転がっているだけでした。

 校舎を探検しようと画策していたUさんたちでしたが、あいにくドアも窓もすべてしっかり施錠されていて入ることができず、手持ち無沙汰になった彼らはいつしか2対2に分かれて、グラウンドでサッカーボールを蹴り合っていました。

次のページ その日はそのまま帰路につき…