限定ソフトウェアも設計。AIを活用したデザインで新たな可能性を示す
ソフトウェアの面でも、“Isai Blue”に合わせた特別な仕様を用意した。壁紙やアイコンをカスタマイズする“Material You”は通常、任意の壁紙から自動抽出されるシステム配色だ。限定デザインを担当したのが、“Google Pixel”プロダクトマネージャー、Pablo Ocampoさん。カラーパレットは、ヘラルボニー契約作家の水上詩楽さん、工藤みどりさん、伊賀敢男留さんら3名の作家の作品をベースに設計され、ユーザーは3つのデザインから壁紙やアイコンのカスタマイズを選択できる。
カラーパレットの設計について、Pabloさんは次のように語った。「作家のアートの力強さと文字の読みやすさを両立させる色彩のバランスを探った。作品の筆使いやカラーレイヤーを入念に研究し、作品が持つエッセンスを維持しつつ、最高のユーザビリティが持続するにはどうしたらよいか、数えきれないほどの調整を繰り返した」。カラーの選定においても、作家本人が好きでよく使う色を尊重したという。
また、“Isai Blue”限定のアプリアイコンもデザインした。デザインはAIを活用し、「力強い筆致」「ドットのレイヤー」「幾何学構成」等ベースとなる作品の特徴を言語化して生成したものだという。作品そのものを学習させてはいない。現状、AIの技術を取り入れたデザインは、賛否両論を巻き起こす。Googleがクリエイティブ領域において、率先して最新技術を活用する姿勢は、AIの可能性を改めて社会に問いかけるかもしれない。
「Googleがなぜヘラルボニーと?」対話の中で見えた共通のビジョン
アートとテクノロジー、異なる分野を突き進んできた両社。最初の協業に至った経緯について、阿部さんは次のように話した。「私たちは“人がテクノロジーに合わせる”のではなく、“テクノロジーが人に寄り添う”設計思想を持っていた。しかし、テクノロジーの研究開発を重ねて最先端を作り続けていると、人間のために作っているつもりが、どこか人間の温かさが感じられないものになっていく。そんな時、ヘラルボニーのことを思い出し、“異彩を放て”のミッションと強く共鳴した」。
ヘラルボニー執行役員 兼 アカウント事業本部統括 國分さとみさんは、「徐々に謎が解けていくものの、最初はグローバルテックの大企業であるGoogleがなぜ我々と協業するのか。少し距離を感じていた」という。しかし、「対話を重ねる中で、“テクノロジーが人のためにあるもの”という原点に立ち返ることができた」「私たちは全く違うアプローチだが、障害のある作家の美しいアートの存在を伝え、エンパワメントすることを目指してきた。お互いを理解し、“一人ひとりの可能性に寄り添いエンパワメントする”というゴールが一致した時、違和感なく日本限定プロダクトを作ろうと思った」と話した。
