Netflixドラマ「サンクチュアリ -聖域-」の力士・猿桜役でブレイクを果たした一ノ瀬ワタルさん。6月26日公開の映画『四月の余白』では、劇場映画初の主演を務め、更生施設で暮らす問題児たちと向き合う元受刑者を演じています。元格闘家としても知られていますが、なぜ格闘家としてのキャリアを捨て、俳優の道を選ぶことになったのか。唯一無二の存在感を放つ一ノ瀬さんの原点に迫ります。
柔道少年がK-1に憧れて
――福岡県で生まれ、佐賀県で育った一ノ瀬さんですが、少年時代に柔道を始められた理由は何だったのでしょうか。
父と兄の影響もありますが、いちばん大きかったのは、実家の裏に住んでいた1歳下の男の子とすごく仲が良かったことですね。彼が柔道を習い始めたことで遊べなくなってしまい、「もっと一緒にいたいなぁ」と思ったのがきっかけでした。全国大会でも上位に名があがるような道場だったので、練習は結構厳しかったです。
――その後、本格的に格闘家を目指されるわけですが、その経緯を教えてください。
柔道を続けていたこともあり、推薦でレスリング部のある高校に進学しました。でも、当時はK-1が大流行していた時期で、次第に「K-1に出てみたい!」という思いが強くなっていったんです。
三者面談で「将来は何になりたいか?」という話になったとき、「キックボクシングを習って、K-1に出たい」と答えました。すると、レスリング部の顧問の先生から「お前はキックボクシングじゃなくてプロレスだ! 新日本プロレスに知り合いがいるから紹介する。高校を卒業したら新日に入れ!」と言われて(笑)。
上下関係も厳しい世界ですし、先生の助言は絶対。「このままだとプロレスラーになるかも!」と思い、16歳で高校を中退し、キックボクシングのジムに通うために東京に出てきました。
―― 一ノ瀬さんの選択に、ご家族はどのような反応をされたのでしょうか?
母は仕事で忙しく、年の離れた兄や姉も家にいないことが多かったので、幼い頃は祖母と過ごす時間が長かったんです。先人の知恵というか、よくいろんなことを教えてくれました。ほとんど内容は覚えていないんですけど(笑)、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とはよく言われていましたね。
当時は「ふーん」としか思っていませんでしたが、人生のターニングポイントに差し掛かったとき、必ず思い出すのがこの言葉で。結果的に、いつも困難なほうの道を選んできた気がします。
