シーズン2の鍵は“悪役”と“ゴッドファーザー方式”
マークス “悪役”のアイデアが浮かんでからは、二人とも道が開けたような感じでした。いっきにストーリーを練り上げていきました。その次は、そのアイデアをどうやって実現するのか。シーズン2は、私たちが今まで手がけたどの作品よりも、壮大な作品になるはず。でもシーズン1を経験したスタッフ達は、それを実現する術を熟知しています。予算は限られているけれど、そこをクリアしてスケールの大きなものを作る。それが次の現実的な挑戦ですね。
――昨年11月に開かれた「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー2025」の壇上で、シーズン2は、前作のラストから10年後の設定だということを明かされましたね。なぜこのタイムラグがある設定にされたのでしょう?
コンドウ 配信ドラマですから、シーズン1を一気見した後に、その直後のシチュエーションから始まるシーズン2を一気見したい人もいるでしょう。でも、それはちょっと現実的じゃない気がするんですね。やはり時間の概念として。実際にはシーズン2は2026年1月から撮影したわけなので、それが編集され配信されるまでには、まだまだ時間がかかります。そしてその間に、作り手の私たちも、視聴者も、それぞれの人生を歩んでいる。だからドラマの時間軸としても、シーズン1のラストシーンの直後から始まる、というのは少し違和感があるだろうと思ったんです。
マークス つまり、現実には3年くらい時間が経っているのに、俳優たちがまるで3年前と同じであるかのように振る舞っていたら、観る人にはとても違和感が生じるのではないでしょうか。この点において、『ゴッドファーザー PART II』(1974)はとても正しかった。『PART II』は、『ゴッドファーザー』(1972)の2年後に公開されたんですけど、ストーリーもやっぱり前作の2年後から始まるんです。そして何よりも1作目と2作目の大きな違いは、主人公に抜擢された新人アル・パチーノがこの2年の間に大スターになったこと。考えてもみてください。もし『ゴッドファーザー PART II』が前作のラストから始まって、アル・パチーノがまた新人のような顔をして現れたら、全く意味をなさないでしょう? それと同じことが、この作品にも言えると思います。
――それで10年後という設定にしたんですね。
マークス そう、みんなの成熟度が増しているわけですから。前回、経験を積んだ俳優たちがシーズン2に戻ってくる時、みんな演じる役柄の本質をより理解しているでしょう。そしてその人物に刻まれた年輪は、私たちの時間、成熟度の反映でもあるんです。この「時間」という概念がとても重要で、10年後という設定にしたことで、シーズン2の主たるテーマが浮き彫りになっていくはずです。
文・撮影=石津文子
