ドイツ生まれのフットウエアブランド、ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)は、足元を軽やかに演出するシューズで幅広い世代に愛されます。そのルーツは1774年まで辿ることができ、2世紀半もの時を超えて靴作りに情熱を注いできました。

 創業当初からの想い“人間の足と向き合い、裸足のような感覚で履けるシューズを作ること”は、ブランドが掲げる「Walk Naturally」のメッセージを通して、今にも受け継がれています。2024年には、フットやボディにはたらきかけるケアラインを立ち上げ、身体へのアプローチも強化。

 そんなブランドの世界を体験できるイベントが、豊かな自然の中で独自の文化が育まれた韓国・済州島で開催されました。

 タイムレスで控えめなデザインでありながら、アイコニックで、ものづくりへの確固たるプライドを感じさせる――そんなブランドのあり方に興味を持っていた筆者が、2泊3日の旅の中で、ビルケンシュトックのものづくりの源泉に触れました。


医療現場からカウンターカルチャー、ファッションシーンへ

 ビルケンシュトックの靴づくりの歴史は、1770年代の靴職人、ヨハネス・ビルケンシュトックまで遡り、250年以上にわたり人の足と向き合ってきた一族の探究心とともにありました。20世紀に入ると足の構造や左右差に注目し、1913年にコルクなどを混合した柔軟なインソール構造を考案。のちにフットベッドと名付けられました。

 その後も一族は足の健康と“自然な歩行”という理念を追求し続け、1963年、ついにこれまでの研究と膨大な測定データに基づいて完成した、あらゆる人の足に合うように標準化された「フットベッド」を搭載した初のサンダルが登場します。

 この初のサンダル“マドリッド(MADRID)”に続いて、その後“チューリッヒ(ZURICH)”などが登場し、医療の現場を中心に支持されます。1970年代に誕生した“アリゾナ(ARIZONA)”は、スーパーマーケットでも販売され、ヒッピーの若者たちの心を射止めました。1980年代以降はファッションシーンでも注目されるようになり、ブランドは文化と共鳴しながら発展。いつの時代にも常に「足と向き合う」美学があり、その姿勢が現在のケア領域への展開にもつながっています。

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