11月28日(金)公開の映画『栄光のバックホーム』で、元阪神タイガースの北條史也を演じた俳優・前田拳太郎。前篇では、“ヒーローになる”という夢を叶え、「仮面ライダーリバイス」で華々しい俳優デビューを飾るまでの、幼少期からの歩みを振り返ってもらった。

 後篇では、強い思いで挑んだアニメの声優オーディション秘話から、最新出演作『栄光のバックホーム』で見せた徹底した役作りまで、まっすぐに努力を重ねる彼の魅力をさらに深掘り。


演じるうちに楽しくなっていった“かわい子ぶりっ子”役

――個人的には、奥智哉さんとW主演を務めたドラマ「君とゆきて咲く~新選組青春録~」(24年)や、高杉真宙さんの可愛らしい後輩役を演じられたドラマ「わたしのお嫁くん」(23年)といった作品も印象的でした。

 「君とゆきて咲く」は4~5カ月ほど、ずっと京都で撮影していたので、その生活リズムに慣れるまで時間がかかりました。家に帰れない日々が続くのは大変でもあり、正直ちょっと寂しかったです。

 一方で、「わたしのお嫁くん」は、自分が“変われた”と実感できる作品です。「仮面ライダーリバイス」や「女神の教室」を経ても、どこかまだ殻を破りきれていない部分があったのですが、この作品に出演してからは、怖いものがなくなったというか(笑)、一歩前に踏み出せるようになりました。

――「怖いモノがなくなった」とは具体的に、どういうことですか?

 身長があって、どちらかというと顔立ちもクールな自分に、まさか“かわい子ぶりっ子”の役が来るとは思ってもいませんでした。だから最初は戸惑いもありましたが、演じていくうちにだんだん楽しくなっていって。台本に書かれていないアドリブもどんどん生まれるような役で、思いきって殻を破ることができました!

――「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の制作チームによるアニメ映画『ふれる。』(24年)では、永瀬廉さん・坂東龍汰さんとトリプル主演を務めました。アフレコでの印象的なエピソードは?

 アニメが好きなこともあって、声優の仕事はずっと夢でした。事務所の方にも「声優の仕事がしたいです」と伝えていましたし、レッスンを受けたり、プロフィールにボイスサンプルを付けようと思っていたタイミングで、ちょうどオーディションのお話をいただいたんです。

 しかも、大好きな「あの花」チームの作品。いちアニオタとして、「ここは絶対に獲らなきゃいけない!」という強い思いがあり、優太という役を自分なりに徹底的に仕上げてから、オーディションに挑みました。

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