産地直送、旬の素材を使った切売りピザ

 そして、もう1軒ご紹介したいのは、小さな店が常に人で溢れている切売りピザの店『ピッツァリウム』。わざわざこの店を目指して遠方からやって来る人や旅行者が絶えないほどの人気ぶりだ。こちらもバチカン市国の近く。バチカン美術館帰りの軽いランチにお薦めだ。

 マエストロと呼ばれるガブリエーレ・ボンチはパンづくりの天才として知られている。パリッとしたピザ生地の外側に対してソフトな中身。そのギャップにまず驚かされる。ピザ特有の食後にお腹がもたれる感じはまったくない。これが『ピッツァリウム』の売りであり、彼ならではの技と言われているのだ。石臼でひかれた有機小麦を使い、自然培養からなる天然酵母でじっくりと発酵させてピザ生地をつくる。さらにその80%は水分というのがふわっと軽いピザ生地の理由らしい。

 トッピングは旬の素材しか使わないため、季節ごとにメニューは変わる。もちろん、どれも産地直送のもの。扱うビールも国内外の地ビールを中心にその種類は50種弱。切売りピザ店の数は多くても、これほどこだわっている店は『ピッツァリウム』のみ。イートインスペースが狭いのは残念だが、それを補うには十分過ぎるほどのエレガントな切売りピザ。ローマで試すべきファストフードのひとつだ。

Pizzarium(ピッツァリウム)
Via della Meloria , 43 ,00136 Roma
電話番号 06.3974.5416

村本幸枝(むらもとゆきえ)
イタリアでは撮影コーディネートを、日本では東京・中央区で「日伊文化交流サロン アッティコ」を主宰。在伊歴20年ちょっと。現在、年の半分ずつをイタリアと日本で過ごしている
日伊文化交流サロン「アッティコ」:http://www.attico.net

Column

気になる世界の街角から

世界の12都市から、何が旬で何が起きているかをリポートするこのコーナー。
その街に今すぐ飛んで行きたくなる情報ばかりです!

text&photographs:Yukie Muramoto