素材を生かした飽きのこないお菓子たち

左:「タルトシトロン」 420円。
右:「チーズケーキ」 350円。

 「タルトシトロン」は、レモンのすっぱさが特徴。ベースの生地にチョコレートを使ってあり、スポンジ生地、カスタードクリームとレモンクリームのバランスが絶妙です。レモンのフレッシュな酸味と生地の凝ったおいしさがクセになるでしょう。

 「チーズケーキ」は、2種のチーズをブレンドし、なめらかで優しい味わい。蒸し焼きにしたフワフワ感も魅力です。

「カッサータショコラ」 440円。

 他にも、生ケーキは、ワインクリームと赤スグリの酸味のきいた大人のムース「ヨハネスベーレ」や有名なウィーン菓子「ザッハトルテ」など、10種類余り。イタリア菓子の「カッサータショコラ」など、色々なヨーロッパ菓子が登場します。秋には丹波栗を使ったモンブラン、冬にはリンゴやキャラメルのムース、ヘーゼルナッツを使ったバタークリームのお菓子なども。

 どれも奥村さんがひとりで生地やクリームをていねいに作っており、口当たりがなめらかで、後口の良さが抜群。派手なデコレーションではありませんが、どれも優しく飽きのこない味わいです。

 焼き菓子もご紹介しましょう。

 「ブタのミミ」は、噛めばザクッ、カリッ。キャラメリゼした砂糖の甘さが広がり、サクサク軽やかな食感になってすうっと消えます。「子ブタのミミ」は、食べやすい小さいサイズ。どちらも手土産としても喜ばれるお菓子。「大ミミ、小ミミと呼ばれる『フロインドリーブ』の定番。焼き菓子は10種類くらい、作っています」。しっかり焼き込まれた粉の香りがポイントです。

左:大きなほうが「ブタのミミ」 1枚150円。右側の小さいものが「子ブタのミミ」 1袋450円。
右:「クッキー ミックス」 1ケース450円。

 「クッキー」は、ナッツをまとった「ラング」などの単品と、数種類をパックした「ミックス」。どれを食べても、キレの良い後口。手土産にもぴったりです。

 「強い香辛料は苦手なので」と奥村さんが作るお菓子は、どれも優しく、素材の風味が感じられるピュアな味わい。お年寄りから子供まで誰もが好きになる、どこか懐かしい味がします。

 「ドイツのお菓子は生活に密着していて、素材の良さを大切にしていると思う。そんなドイツの伝統を伝えながら、自分らしいお菓子をひとつひとつていねいに作っていきたい」と奥村さん。

 定番はもちろん、次々に登場するドイツやヨーロッパのお菓子が身近に感じられる、小さなお店です。

『エミル ツッカーベッカー』
所在地 兵庫県神戸市灘区日尾町2-3-17
電話番号 078-843-1880

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2015.08.09(日)
文・撮影=そおだよおこ