万博のおいしい楽しい歩き方
会場はメインストリートを中心に左右にパビリオンが並ぶ分かりやすい配置。パビリオンは各国が出展したもののほか、イタリアの大手食品メーカー、各州、イタリアワインやスローフード協会など食品関連団体などのものもあります。
右:オープンキッチンにて開催される料理教室。
右:ベルギーの野菜を室内で育てる最新技術。
各国のパビリオンには、その国の食生活や、伝統、主な産業などを説明するブースのほか、イートインコーナーや特産物の売店を備えているところも多くあります。また、伝統芸能のショーや、参加型のイベント、オープンキッチンでのクッキングショーや料理教室なども各地で開催されており、楽しいイベントも盛りだくさんです。
右:カザフスタン伝統芸能のステージ。
右:エクアドル館で食べたキヌアのコロッケ。日本でも流行ったキヌアですが、この地方でも食べられるものだったんですね。
どのパビリオンをまわるかは万別かと思いますが、私はあえて行ったこともなくどういう国なのかよく知らないところを中心に訪れてみました。その国を説明するブースを見まして、イートインコーナーでその国の食べ物をちょっと食べましたら、ただ説明を見るだけよりもその国のことがよく分かる気がしました。まるで現地を旅している気分で楽しく、また次の国、と進んでみたくなります。
右:オルダーニ氏による「Zafferano e Riso “D'O”」。天才シェフの神髄を知ることができる一皿。特設会場にて食べることができます。
そして見逃してはならないのは開催国イタリアのパビリオン。ワインや各地の特産物のイートイン、売店ももちろんチェックしたいですが、私の注目はイタリア料理を推進する「Identità Golose(イデンティタ・ゴローゼ)」が開催するイベント。人気で予約の取れないレストランのシェフが日替わりで腕をふるいます。
私が訪れた日は、雑誌やテレビにも登場する人気シェフ、ダヴィデ・オルダーニ氏のランチとディナー、そしてイベントが開催されていました。
そのオルダーニ氏にお話をうかがいました。料理を作る上で大切にしていることは、「良い素材を作ってくれる生産者とそのおいしさを知る消費者、そしてイタリアの伝統をリスペクトすること」とのこと。新しい感覚で創られる美しい料理が評判のオルダーニ氏ですから、斬新な答えがあるのかと思いきや、その答えは実に核心をついたものでした。芯がぶれないからこそ、その発想は自由に羽ばたくことができ、人々は心を捉えられるのかもしれません。
会場でおいしく楽しく遊ぶうちに、日々の食事のありがたさ、大切さを考えさせられます。普通に食べられることは普通ではなく、ありがたいことなのだと、感謝を忘れず過ごしたいと思いました。
EXPO Milano 2015 公式ホームページ
URL http://www.expo2015.org/en
イタリア政府観光局
URL http://visitaly.jp/expo-milano-2015
Identità Golose(イデンティタ・ゴローゼ)
URL http://www.identitagolose.it/
藤原亮子 (ふじはら りょうこ)
イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブック https://www.facebook.com/chococogogo
文・撮影=藤原亮子