「はい、私たちは一緒に酒を飲みました。コカインも何度かやりました。錠剤をあげたこともあります。彼をちょっと黙らせるために」
この締めの言葉には、法廷内から笑いの声が上がった。
ロッテンボーンは、半袖シャツにジーンズ姿のジョニーが、黒いレザー張りのソファの上で寝落ちし、手にしていたアイスクリームをこぼしたまま気づかずにいる写真も提示してきた。写真からはジョニーがだらしない印象を受けるのは否めない。しかし、「ブラック・スキャンダル」のロケでボストンに滞在している時、アンバーによって撮影されたというその写真について、ジョニーはこう語った。
「17時間も仕事をした日で、今にも眠りに落ちそうな時、アイスクリームを持つよう彼女が私に頼んできたのです。私は当時、オピオイドを服用していました。写真を見ると、私の右手はポケットに入っていますね。つまり私自身はアイスクリームを食べていなかったのです。私は彼女のアイスクリームを持たされていたのです。私が寝落ちしてアイスクリームを落とすだろうとわかっていたから、彼女はその瞬間を撮ろうとしたのです」
元妻による隠し撮り動画
2016年の夏に「TMZ」にリークされた動画も、陪審員の前で再生された。スウィッツァー・アベニューの家のキッチンで、キャビネットの扉を乱暴に閉め、朝だというにもかかわらず、大きなグラスになみなみと赤ワインを注ぐものだ。
「この動画のあなたは暴力的ですね。同意しますか?」
そんなロッテンボーンの問いに、ジョニーは冷静に答えた。
「機嫌が悪かったのは明らかですね。具体的にいつ(の動画)なのかわからないので、なぜか(機嫌が悪かったのか)は説明できません。しかし、愛する相手から無断で撮影されていたとは。彼女が撮影したほかの写真や、録音した音声も同じですが。私としては、(この動画で)一番面白いのは、隠し撮りをしていた彼女が最後に笑うところですね。私はキャビネットに暴力を振るいましたが、ハード氏に触れていないのはご覧のとおりです」
動画の中でジョニーがなみなみとワインを注いだことについて、まじめな表情のロッテンボーンがその大きなグラスを「メガパイント」と呼ぶと、その独特の表現にジョニーは面白がる反応をした上で、
「私は自分のために、大きなグラスにワインを注ぎました。必要としていたので」
と答えた。
この「メガパイント」という造語はジョニーの支持者の間で大ウケし、ソーシャルメディアで流行語となり、「メガパイント:僕には必要だった」と描かれたTシャツまで作られた。この裁判は、明らかに社会現象となっていたのだった。
◆◆◆
ふたりの泥沼闘争の果てに、司法が下した結論とは――。裁判の全貌は『ジョニー・デップの戦い DV疑惑の真実と復活への道』(猿渡由紀 著、文藝春秋)でお読みいただけます。

ジョニー・デップの戦い DV疑惑の真実と復活への道
2026年10月22日
定価 2,750円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)
