ものすごく寒い! 生きていくために助け合った日々

――この映画ではナギという町自体がキャラクターになっているかのように感じました。奈義町に約1カ月滞在された撮影を通して、町での暮らしなどから感じたことをお聞かせください。

 この作品は雨を降らすシーンとか、夜のシーンでは大変なこともあったのですけど、基本的には何十時間も労働するということじゃなく、体調や慣れない場所での滞在などに気を付けながら皆さんで進めていきましょう、という本当にゆったりとした雰囲気で撮影が進みました。

 もちろんがんばるところはぎゅっとがんばらなきゃいけなかったですけど、撮影中は全体として穏やかな感じでしたね。ただ最初は3月だったのに、ものすごく寒くて! 部屋の暖房を30度にしても凍えるぐらい寒くて。撮影は4月初旬まで続き、最後のほうはあったかくなってきて、今度は虫が目覚めてくるという(笑)。

――お話しぶりから当初はとんでもなく寒かったと伝わってきます。

 本当に最初はどうしようっていうぐらい寒かったので、できるだけ防寒具を着て、コテージにある布団をとりあえず2枚ぐらい重ねて、目元だけを出して寝ていました(笑)。大袈裟じゃなく、本当に。私たちの滞在した場所がそれぐらい寒くて、その中でどうやっていこうかと。静河ちゃんと私はコテージみたいなところにそれぞれ滞在していて、お隣さんだったんです。

――寒い時期のコテージってものすごく冷えますよね。“お隣さん”の石橋さんと共に、冬から春へ移り変わる奈義町の気候を全身で体感されていたのですね。

 静河ちゃんと助け合いながら、お互いに生きていく工夫をしていました(笑)。コテージにキッチンがあったので、私がスープ作ったよ、と持っていく、静河ちゃんがなになにを作りました、と持ってきてくれて、ちょうだい、と。道の駅や直売所のとても美味しい野菜や、大きな精肉店もあったので、食材をいかに使うか、お互いに工夫してお裾分けをしながら過ごしていました。それがとても楽しくて。家族のためじゃなく、自分のためだけに作るのは贅沢だなと、ご飯を考えてやりくりするのは楽しかったですね。

――気候や自然を身近に感じ、自炊して料理を分け合う。奈義町に実際に住んでいるかのような滞在だったのですね。

 だんだん暖かくなってくるかな、今日はマシだなとか、こうするとあったかいかなとか、寄子たちもきっとそんなふうに生きているわけですから、こうして生きていく工夫をしながら撮影に臨み、いろんな実感ができたことはよかったなと思います。なかなか楽しい、面白い合宿……修行だね、なんて言いながら暮らしていました。

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松 たか子(まつ・たかこ)

1977年6⽉10⽇⽣まれ、東京都出⾝。93年に歌舞伎座「⼈情噺⽂七元結」で初舞台。94年にNHK⼤河ドラマ「花の乱」でドラマ初出演。97年に『東京⽇和』(⽵中直⼈監督)で映画デビュー。同年「明⽇、春がきたら」で歌⼿デビュー。14年のディズニー映画『アナと雪の⼥王』、19年の『アナと雪の⼥王2』の⽇本語吹き替え版・エルサ役と劇中歌を担当。主な映画出演作品に『夢売るふたり』(12/⻄川美和監督)、『⼩さいおうち』(14/⼭⽥洋次監督)、『ファーストキス 1ST KISS』(25/塚原あゆ⼦監督)、『夏の砂の上』(25/⽟⽥真也監督)など多数。

『ナギダイアリー』

監督・脚本:深田晃司
出演:松 たか子、石橋静河、松山ケンイチ、川口和空、藤原 聖
新宿ピカデリー、ユーロスペースほか全国公開中
スターサンズ配給
https://starsands.com/nagidiary/

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