Q7: 宝石は世界中の様々な場所で産出しています。農産物や海産物は産地によって価格が高くなることがありますが、宝石も産地によって、価値や美しさが変わるのでしょうか。
A7:イエス
もちろん、どこの産地から産出しようと、ダメなものはダメです。しかし質のいいものについては、産地が美しさや価値に大きく関係します。
たとえば、ルビーの場合、4章でも紹介したミャンマーのモゴック産(ピジョンブラッド)が最も美しいとされ、市場では他の産地のルビーより高値で取り引きされます。
サファイヤであれば、最も価値が高いのはインド・パキスタンにまたがるカシミール地方産です。「コーンフラワーブルー」と呼ばれる穏やか(ベルベッティ)で上品な青の色味が美しい上にずいぶん前に採掘が終了しており、市場の流通量も少ないためです。
エメラルドといえば、コロンビアが一大産地です。アフリカ南部のザンビアがこれに続きますが、総じてコロンビア産のものより青みが強く、グリーンの深みに欠けるという特徴があります。こうした違いも、美しさや価値に関係してきます。
ここで余談をひとつ。前述したように、私はエメラルドの買い付けのため、合計62回、コロンビアに足を運びました。いつも「これ以下の品質のものは買わない」という基準になる「付け石」を携行し、実際にそれと見比べながら、エメラルドを仕入れたものです。その意味では、この世界に入った直後から、「自分の目で実物を見て品質を判断する」ということに徹してきたわけです。
ただ、1990年前後から、エメラルドのオイル含浸(がんしん)処理が過度になり、日本に運ぶまでの間にキズが浮かんできてしまうことが増えたため、買い付けに行くのをやめてしまいました。
産地の「人」の仕事ぶりもまた、宝石の品質に影響するといえるでしょう。
