宝石を上手に選ぶには?
ジュエリーの価値は“石”ではなく、“知識”で決まる——。
そう語るのは、国内外のジュエラーはもちろん、美術館や博物館からも鑑定を依頼される諏訪貿易の諏訪恭一氏。1908(明治41)年の創業以来、3代目会長として宝石の世界を知り尽くした人物です。「本当にいいものを手に入れてほしい」という思いから生まれた『知っている人は得をしている 宝石の価値』(新潮新書)には、ジュエリーを愛するすべての女性に知っておいてほしい"宝石の常識"が詰まっています。
Q2: 海外で「滅多に手に入らない珍しい宝石」と勧められ、価格も安かったので、これはお宝に違いないと購入しました。調べてみると、どうやら「レアストーン」と呼ばれる宝石のようです。珍しい宝石なので、高く売れるでしょうか。
A2:ノー
レアストーン(稀少石)は、その名のとおり稀少な石です。しかし、稀少だからといって高値で売れるかというと、必ずしもそうではありません。
レアストーンにはいろいろ種類がありますが、宝石の要件とされる「硬度(こうど)」が低いものが多く、大半は厳密な意味での「宝石」ではありません。序章の基礎知識でも説明しましたが、硬度は宝石の「格」を決めます。硬度が低いと、すぐに欠けたり傷ついたり、あるいは割れてしまったりするため、装身具の材料としても適していません。
4章で述べたように、宝石の価値は需要と供給で決まります。「宝石の個数」に対して「欲しいと思う人」が多ければ多いほど、価値は高くなります。
レアストーンの場合、確かに産出量は少ないですが、その存在があまり知られておらず、欲しいと思う人もあまりいないため、そこまで価値は高まりません。需要も供給も限られているために、市場が形成されないのです。
珍しい鉱物が好きで、コレクションしたいというのであれば、レアストーンを購入することに何ら問題はありません。ただ、資産価値を考えるのであれば、素直に宝石を選ぶのが得策です。
そもそも、本当に価値があるものだったら、通りすがりの旅行者に安く売るはずがありません。先代の父がよく言っていました。「業者でも儲からないのに、素人が儲けられるわけがない」と。欲気は誰しも禁物なのです。ご自分の楽しみとして考えておくくらいでよいのではないでしょうか。
