VIVANTを一番楽しんでいる二人とは

 そして、この「VIVANT」のトンデモ世界観を一番楽しんでいるのは、間違いなく主演の堺雅人さんだろう。乃木とFの演じ分けに加え、劉銘軒(リュウ・ミンシュエン)として登場した時は、さすがに出すぎかと思ったが、「私に嘘はつかないで―ッ!」という強烈張り手のシーンで「堺さんが楽しそうだからそれでいい」――そう微笑んで頷いてしまった。しかし撮影が終わったあと、ちゃんと役が抜けて堺さんに戻れているのだろうか。勝手に菅野美穂さんを心配してしまう。

 そしてもう一人、このドラマを楽しみ尽くしているのが、テントの史上最低のモニター、山本役の迫田孝也さんだろう。どう考えても卑劣極まりないクズキャラなのに、「VIVANT悪役会議室」で転生し、イキイキとMCをつとめ、本編よりも出番を増やすという離れ技をしている。迫田さんの愛嬌についついほだされるが、忘れてはならないのでもう一度書く。山本はクズなのだ。

 逆に気の毒なのが、野崎を演じる阿部寛さんである。役作りでゲソゲソに痩せていらっしゃる。ただでさえ彫りが深いお顔なのに、もう目玉が落ちそうじゃないか。そばに愛されキャラクターとして黄金比の丸顔を持つドラム(富栄ドラム)がいてよかった……。

 ラスト、10人目。このドラマから大きく羽ばたきそうな、アリ役の山中崇さんをフィーチャーしようと思ったのだが、やはりエピソード19を観た直後の今のメンタルとしては、コテンパンに拷問された別班の和田貢さんを出さずにはおれない(泣)! しかも演じる平山祐介さんは55才。和田さんもこの年齢だとするならば、私と1つしか変わらない。更年期もあるし、こんなハードな任務は若者に任せていいのよ(泣)。

 いやもう、「テレビの時代は終わった」と言われながら、なんだかんだ地上波のドラマは面白いと思わせる「VIVANT」。細かい展開がたくさんありすぎて、話の大筋がよくわからなくなっているが、みんな生きて幸せになってほしい!「VIVANT」の意味は「別班」ではなく「ビバ!」の最上級だという浮かれたオチを待っている。

 拷問シーンはもういいよ……。

※そして今、10月11日夜。20話放送を観たので加筆。和田さん、イヤーッ!! 願い届かず(泣)。奪回作戦もまたもやケリがつかず、人が死にすぎで少々引いています。最終回までこのまま引っ張ったらどうしよう……。

田中 稲(たなか いね)

ライター。WEBを中心に、昭和歌謡、J-POP、世代研究、映画・ドラマの記事を執筆中。感動したら即行動をモットーに、50代半ばから、コンサートレポート、インタビューにも走り回るようになる。
著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『なぜ、沢田研二は許されるのか』(実業之日本社)がある。
執筆協力も、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(じっぴコンパクト新書)『時代小説・時代劇がよくわかる剣術・剣豪と刀』[本/雑誌](じっぴコンパクト新書)ほか多数。
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