『鬼平犯科帳』など数々の名作を残した作家・池波正太郎は食通としても名高い。著書『散歩のとき何か食べたくなって』には「チキンライスが銀の容器(いれもの)に入って出て来やがった」と驚く友人に連れられ、初めて資生堂パーラーを訪れた少年時代の思い出が綴られている。そのおいしさの秘訣は「たね」にあると、調理長の川嶋俊雄さんは語る。

「たまねぎ、チキン、マッシュルームなどをよく炒めて味を凝縮し、ケチャップとトマトペーストを加えて煮詰め、一晩寝かせて『たね』を作ります。これをご飯と炒め合わせ、仕上げにエダムチーズを加えることで、より濃厚なコクが生まれます」

 チキンライスをはじめとする伝統メニューのレシピは戦前から変わらない。池波が「持続の美徳」と評した味が、今なお受け継がれている。

資生堂パーラー

所在地 東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル 4F・5F
電話番号 03-5537-6241
営業時間 11:30~21:30(L.O.20:30)
定休日 月曜

※初出:文藝春秋 2024年12月号
※記載内容は変更されている場合もあります