ヘラルボニー誕生のきっかけとなった、るんびにい美術館。

 ツアーでは、障害のある作家による作品を常設する、花巻市・るんびにい美術館への訪問も組み込まれた。ヘラルボニーが本格的に事業として立ち上がったきっかけは、共同代表の松田崇弥さんがるんびにい美術館を訪れ、展示作品から大きな衝撃を受けたこと。ネクタイをキャンバスにした協業を持ちかけたことが始まりで、現在も同美術館に所属する作家の作品を発信し続けている。

 ここでは、アートディレクターである板垣崇志さんにお話を聞いた。るんびにい美術館は、社会福祉法人光林会が運営する。光林会は1967年に設立。障害福祉制度や養護学校・特別支援学校が未整備であり、“義務教育免除という名の排除”がおこなわれることが多かった当時、障害のある子どもたちの居場所が欠如していた。

 障害のある児童の入所施設として始まって以降サポートを拡充し、2007年には、ギャラリーの開設によって、福祉と文化を横断する複合事業へと変化した。今でこそヘラルボニーの功績もあり、障害のある作家が描くアートの認知度が高まっているが、開設当時はそういった作品を常設で展示する拠点として、全国で3館目に相当する先進事業だった。

 現在、1階にはギャラリーと、就労支援事業所の役割を担うカフェ・ベーカリー、2階には生活介護事業所としてアトリエを構える。公益事業として展開するギャラリーには、障害のある利用者による作品を展示している。

 展示は年3回で入れ替え、年1回は利用者の作品展を実施。ちょうどこの期間中は、利用者の作品が展示されていた。アートディレクターである板垣さんは、各作家の作品の傾向はもちろん、好き/嫌いや普段のキャラクター、挨拶する時の癖などもよく理解しており、ツアー参加者に話してくれた。

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